口コミ人気でヒット中! 『スタッキング可能』

青木淳悟、市川真人、岸本佐知子、柴崎友香、島田虎之介、豊崎由美、長嶋有、福永信、フジモトマサル、法貴信也。作家から画家まで、バラエティ豊かな推薦コメントが並ぶ『スタッキング可能』。初めての単行本であるにもかかわらず、口コミで評判が広がり、順調に版を重ねています。(2月20日現在4刷)

「スタッキング可能」「ウォータープルーフ嘘ばっかり!」「マーガレットは植える」「ウォータープルーフ嘘ばっかり!」「もうすぐ結婚する女」「ウォータープルーフ嘘ばっかりじゃない!」という6つの話で構成されています。「スタッキング可能」は飲みに行っては女の話ばかりしているAとB、可愛いものが好きで「天然」と言われるC、業務以外は必要最低限のことしかしゃべらないDなど、匿名の会社員が内面に抱える違和感と見えない闘いを積み重ねていく。

小説ってこんなこともできるんだという驚きと、「あるある」という共感を兼ね備えた作品です。

小説家か翻訳家になりたかった

松田青子

松田青子(まつだ・あおこ)1979年兵庫県生まれ。同志社大学文学部英文科卒業。訳書に『はじまりのはじまりのはじまりのおわり』(福音館書店)がある。

――どうして小説を書くようになったんですか?

松田 ちっちゃいころから本が好きで、小学校の文集にも、将来なりたい職業は翻訳家か小説家と書いていたんですよ。でも、すごい本を読むと、自分にできるわけがないと思うじゃないですか。書きたいけど無理無理という感じのまま、大学生になった。で、就職活動をはじめる頃に、父親が急死したんです。人はこんなにいきなり死ぬ。自分だってすぐ死ぬかもしれないと考えたら、悪い中二病みたいになって。

――悪い中二病?

松田 何をしても無駄だろうという無力感に支配されていました。それから契約社員とかフリーターのような感じで、職を転々としていました。20代の終わりくらいに、このままじゃいけないという気がして。一回、書くことをちゃんとがんばってみようと思ったんです。外向けに文章を書いたことがなかったので、まずはブログからはじめました。そのブログを福永信さんが読んで、同人誌に書かないかと仰ってくださったんです。もし信さんが声をかけてくださらなかったとしたら新人賞に応募したと思うんですけど、それを読んだ編集者さんから原稿の依頼をいただいて、少しずつ仕事が増えていきました。文芸誌デビューは「すばる」(2010年9月号)に載った「ノースリーブ」という短篇です。