身振り手振りで設備や家電の操作が可能に!?
例えば、気象・地震センサーは災害が発生した場合、その被害の大きさをハウスメーカーが判断するのに活用できますし、それにより従来と比べより迅速にアフターサービスを受けられることにつながります。このようにセンサー技術をHEMSと連携させていたのが、「MIDEAS」の特徴の一つと感じられました。中でも興味深かったのが、マイクロソフトのゲーム機に使われている「Kinect(キネクト)」の技術。手振りによる「ナチュラルユーザーインターフェイス」も採用されていました。これらを活用し、どこまで住まい手の利便性や使い勝手を向上させることができるか、今後検証が行われていくといいます。
携帯端末などで採用されている「タッチインターフェイス」には個人的になじみがありますが、「ナチュラルユーザーインターフェイス」はあまり体験する機会がなく、新鮮な印象を受けました。これまでゲーム機などで先行的に採用されてきた技術が、いよいよ生活シーンの中核である住宅の世界に導入されようしているところでしょうか。
今回の公開では「Kinect」による操作はテレビと照明のON・OFFやブラインドの開閉の3種類に限られていましたが、実際には様々な家電や設備の制御が可能とのこと。こちらも今後行われる実証の中で、何を制御しどう活用していけば良いのか、などを確認し改良されていくそうです。
ところで、この「MIDEAS」は、三井不動産グループが主導して展開・開発している「柏の葉キャンパスシティプロジェクト」(千葉県柏市)の一環でもあり、同プロジェクトと連動して、コミュニティ全体でエネルギーの需給状況を「見える化」するシステムの中にも組み込まれています。
「AEMS」でコミュニティのエネルギー需給状況を把握
実は、スマートシティ(スマート化された住宅や商業施設、行政施設などの集まり。スマートタウンなどと同義語)というのは、実はまだ開発が始まったばかりで、中でも実際に人が住み経済活動が行われている事例はまだまだほとんどないのが実情です。柏の葉キャンパスシティプロジェクトが展開されている「柏の葉キャンパス駅」周辺では、すでにマンションで大勢の方々が暮らしており、大型ショッピングも営業を行っています。そこでは、HEMSのコミュニティ版「AEMS」が導入・稼働しており、コミュニティ内のエネルギーの様子が「見える化」されています。
この「AEMS」の情報は、マンション内のHEMSを通じて住民の方々も確認することができるといいます。つまり、スマートコミュニティで住民の方がどのような暮らし方をし、どのようなメリットを享受しているのか、がわかる非常に貴重な事例といえるのです。
運営している三井不動産によると、電力需要がピークを迎える時間帯には、住民の方々が自宅から外出されて、近くにあるショッピングセンター「ららぽーと」で過ごされるなどして、街ぐるみ・住民ぐるみで省エネ・節電に取り組む姿が見られているとのことでした。
もちろん、HEMSを通じてマンション各住戸内のエネルギー需要の様子がわかり、住民それぞれが「どれだけ節電できた」のか把握できるといいます。そのおかげで、無理なく省エネや節電に貢献でき、「スマートに生活を楽しめている」そうです。
住民やコミュニティ全体で省エネや節電に貢献していくのが、スマートハウスやスマートシティ、さらにはその先にある「スマートグリッド社会」の理想形。今回の取材では、その様子の一端が垣間見れたのも収穫の一つでした。
「MIDEAS」は一般にも公開されるとのことですので、興味のある方は是非見学してみてください。
【関連記事】
スマートハウスのこれからと課題について
太陽光発電に新展開 再生可能エネ全量買取スタート
宮城県に誕生 初の本格的「スマートタウン」の見学記
導入メリットが向上! 家庭用蓄電池が本格普及へ
改めて「スマートハウス」 2012年はブレイクの年?
2011年の注目 CO2±ゼロ住宅とスマートハウス
セキスイハイム(2) 業界初のHEMS搭載標準化
萌え~な発表会とスマートハウスの関係とは?
実需型スマートハウス(東急ホームズ)の見学記