パッシブハウスとは?

「パッシブハウス」とは、換気風量の温度調整だけで空調が可能で、その他冷暖房設備が不要なほど家の断熱性能などを高めた家のことをいいます。換気風量の温度調整というのは、家の中の空気を入れ替える際に、全熱交換器という機械を使い、取り入れる空気を夏なら25℃、冬なら20℃程度に設定して室内に取り込むことで、それだけで室温がほぼ一定に保てるわけです。

EUでは、2021年1月頃には、EU諸国で建てる新築の性能をパッシブハウス級にしようという流れがあります。ドイツでもパッシブハウスに積極的に取り組んでいて、今回これから紹介する住宅を拝見することができました。
場所はシュツットガルトの南のほうにあるゴマリンゲン。午後3時で外気温が0℃という状況でした。

パッシブハウスの外観前景を見る

パッシブハウスの約40棟の実績を誇る建築家ライナー グラーフさん設計の家
 

家の中が温かい!その秘訣はサッシ性能にあり

家の中に入ってまず実感したのは、ありきたりですが「温かい」という一言でした。室温はどこも一律で約22℃。リビングの開口部のガラス面で約20℃ありました。一番の驚きは、外気温0℃にさらされているガラス面です。なぜ、ガラス面で20℃も確保できるのか?それは、まだ日本ではあまり採用されていないトリプルガラスを活用していたからです。そしてサッシ枠は木製をベースにし、アルミを屋外側に複合したものです。
サッシのカットサンプル

この家で使われているトリプルサッシのカットサンプル。屋内側が木で屋外側がアルミ

日本ではアルミサッシが多く、最近ではアルミサッシの屋内側に樹脂を施したアルミ樹脂複合サッシというものが住宅用サッシでも普及してきていますが、欧米のサッシ枠は木製や樹脂製が普及しています。なぜなら、アルミは熱伝導率が高く、外気の温度をそのまま部屋内に呼び込んでしまうため、欧米では敬遠されてきたからです。実際にこの家の窓枠の屋内側の表面温度を測ると21℃ありました。

ガラスについては、日本では現在複層ガラス(ガラスが2枚で間に空気層があるタイプ)が随分と普及してきましたが、この家のようにトリプルガラスのサッシは複層ガラスに比べてまだまだ普及していません。

具体的な性能、例えば熱をどれくらい通しやすいかの指標になる熱貫流率でみてみると、ドイツのトリプルガラスの性能は約0.8W/平方メートルk、それに比べ日本の標準的な複層ガラス(ガラスの厚みが3mmで間の空気層が12mm)の場合、2.9 W/平方メートルk程度あります。数字が小さいほど熱を通しにくくなるので、数字だけで比較すると、ドイツのトリプルガラスは、約3.6倍の能力があるわけです。
ここまで性能が良くなると、窓際に行っても冷気がまったく漂ってきません。リビングの窓が大きいのもうなずけます。
リビング周りの大開口サッシ

外部から見たリビング部分の大開口サッシ。外気温が0℃なのに、屋内側のガラスの表面温度は20℃を保っている