いつも申し上げていることですが、スマートハウスに関連する分野には「これだ!」という定義がなく、まだまだ全体像が見えにくいのが実情です。何が本当に必要で、あまたある先端技術をどのように活用すべきなのか、そうした点について研究や検証が続いています。そんな状況下で先日、三井ホームのスマートハウスの実証実験住宅がマスコミに公開されました。今後、普及していくスマートハウスのあり方とそれによる暮らしの方向性について理解できる建物でしたので、今回ご紹介したいと思います。

ライフサイクルカーボンマイナスを実現!

三井ホームによるスマートハウスの実証実験住宅は名称を「MIDEAS(ミディアス)」といいます。三井ホームは現在、「スマート2×4」をコンセプトに住宅づくりを行っていますが、この建物はそれをさらに進化させたLCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)住宅で、「次世代2×4」という位置づけとなります。それに最先端のスマートアイテム・技術を導入しているのが、今回の建物の特徴となっています。

MEDIAS

「MIDEAS」の外観。建物だけでなく、その周囲に植えられた樹木やエクステリアにも工夫が見られることに注目したい。それらが住宅内部の居心地をよくすることに貢献する(クリックすると拡大します)

LCCMというのは木材の伐採から加工、住宅の完成、その利用、さらには解体までの住宅のライフサイクルでCO2排出量をマイナスにするという考え方。今回の建物では72年で達成できるとしています。三井ホームが「MIDEAS」に次世代2×4の仕様を導入したのは、スマートハウスといえども最も大切なのは、建物の性能や住み心地であるということを認識しているからです。

さて、「MIDEAS」におけるLCCMの特徴を一言でいうと、ツーバイフォー工法が持つ気密断熱性の高さという基本性能に加え、開口部などの断熱性能の強化、さらには独自のパッシブ技術(建物内部だけでなく、外部と一体で環境に優しい設計を行う手法)を融合させたものといえます。

具体的には、例えば壁や開口部についてみても、「ダブルスキン」(二重の壁の間に空気層があり空気を循環させる仕組み)、「ウォーターウォール」(壁に水または蓄熱材を組み込み、熱を蓄えることで冬場の暖房エネルギーを削減)、「スマートウィンドウ」(センサー技術により、窓の外部のブラインドを上げ下げする仕組み。断熱性と日射の遮蔽性を高める)などが搭載されていました。

これらのほか、次世代トータル空調システムや高効率熱交換換気システム、LED照明の導入などを含め「MIDEAS」の省エネルギー性能は、現在ハイレベルとされている次世代省エネルギー基準の住宅に比べ、電気使用量が約50%削減できるとしています。

ダブル蓄電池やディーゼル発電機も

スマートウインドウ

「スマートウィンドウ」。センサー技術により、窓の外部のブラインドを上げ下げするし仕組みが採用されている。因みに窓には三重ガラスが使われ、これは壁面と同程度の断熱効果を持つ(クリックすると拡大します)

ここまでが建物の性能や技術に関することですが、次にスマートアイテムのうち省エネを中心とする設備に関するものを見ていきたいと思います。太陽光発電システムやといった基本アイテムのほかに、三井ホームが近年力を入れている太陽熱ソーラーシステム(住宅の消費エネルギーの3分の1を占める給湯を効率化)が設置されていました。

蓄電関係では「ダブル蓄電池」(2台の蓄電池)に加え、電気自動車から住宅に電気が供給されるシステムも搭載されていて、災害時などのエネルギー不足に対応するための研究も行われています。電気自動車については、ワイヤレス給電システムなども初めて見ることができました

このほか、停電発生時の補助電源としてディーゼルエンジンによる発電機も搭載されていました。一般的な発電機をイメージしていたのですが、音が静かだったのが印象的でした。これらのマネジメントの最適なあり方が今後模索されるとのことでした。

これらの設備を一通りみて感じたのは、住宅の外回りには様々なボックス(各種設備を納める機械を収納)が立ち並んで、それらが建物のデザインを損なうことも懸念されるだろうということでした。

念のために申し上げていきますが、これは「MIDEAS」があくまでも実証実験住宅であるからであり、外観のデザイン性の維持はもちろん、この中で何が必要で不要なのかも含め、今後検討が行われていくようです。

要するにそうした点も、今後改善しなければいけないスマートハウスの課題であるということです。次のページでは、スマートアイテムのうち通常の生活シーンに直結するアイテムと技術についてご紹介していきます。