これまでスマートハウスに関する記事として、その内容のほか関連するハウスメーカーの動向などについて考えてきました。今回は、その一つの区切りとしてスマートハウスなどの将来像について書いてみたいと思います。スマートハウスとそれを巡る動きは、今後どのように変化していき、私たちの暮らしにどのような変化をもたらすのでしょうか。

エネルギー関連だけじゃない! スマートハウスの可能性

スマートアイテム

スマートハウスを構成するアイテム。これらのアイテムが登場したのは、ここ1、2年のこと。今後様々な技術革新が起こり、様々な進化が期待できるかもしれない

現在、スマートハウスについてはエネルギー問題を中心に議論されていると思います。太陽光発電システムや家庭用蓄電池、エネファームを搭載し、それらをHEMSで制御する仕組みにより、従来より省エネや節電に優れた住宅とする、そんなイメージで語られています。

原発問題を抱える我が国の特殊事情、さらには地球温暖化防止の必要性が高まっている昨今においては、スマートハウスとエネルギー問題が強くリンクするのは当然のことだと思います。また、スマートハウスの必須アイテムの一つであるHEMSが、「ホームエネルギーマネジメントシステム」であることも、エネルギーを強く連想させるのだと思います。

しかし、スマートハウスの役割というのは、実はエネルギー制御だけではありません。スマートハウスはIT技術の申し子。ですから、コミュニケーションやネットワークの分野で威力を発揮し、そのため私たちの暮らしを大きく変える可能性を秘めているのです。もしかしたら、そちらの方が大きな可能性が広がっているかもしれません。

具体的には「スマートコミュニティ」という考え方があります。住宅や商業施設、医療機関、行政施設などがITで結びつき、相互に情報のやりとりをするというコミュニティ、街づくりの考え方をいいます。その中で、住宅において窓口となるとみられているのがHEMSなのです。

医療や介護、福祉の分野でも期待されるスマートハウス効果

例えば住宅と医療機関。HEMSで双方が常時つながっていれば、患者の体調を管理したり、健康維持や医療のアドバイスを患者に提供するなど、医療機関は今より効率的に業務行えるようになりますし、私たちはより上質な医療サービスを享受できるようになります。そうなれば、我が国の課題の一つである医療コストの削減の一助になるかもしれません。

人工透析

スマートハウスと医療のコラボレーションの一つで、自宅で人工透析を行えるようにするための実証実験の様子。実現すれば、患者さんはわざわざ病院まで出かけずに、透析を行えるようになる(旭化成ホームズの住宅総合技術研究所内、クリックすると拡大します)

高齢者介護や福祉の分野も同様です。住宅と介護事業者がHEMSでつながり、介護事業者に常に見守られている状況を作り出すことができれば、在宅ケアのサービスがより効率的に行われるようになるかもしれません。実現すれば、スマートハウスは社会保障費の削減にも貢献することも期待できます。

もちろん、このほかにもHEMSを通じて様々な便利なサービスを受けられるようになるでしょう。住宅内にある家電や設備がつながることで、例えば家電のON・OFFの遠隔操作(住宅の外から)であれ、近い将来に可能となりそうです。

ちなみに、HEMSというのは様々な機能を付加することが可能です。現在のHEMSはエネルギー制御に特化されているイメージですが、例えばスマートフォンが新しいアプリを加えることで変わっていくように、HEMSも新たなソフトを追加していくことで、どんどん進化していきます。

ですから、住宅以外の異業種が最近、住宅分野に対して注目するようになってきました。よくご紹介していますが、自動車業界が電気自動車を通じて住宅へのアプローチを強めているのがその一例といえます。

スマートハウスが注目されるようになって、住宅マスコミに籍を置く私が驚きを持ってみているのがこの現象。エネルギー業界や家電業界のほか、通信や医療・介護、さらにはアミューズメントなど様々な業界と企業が、現在連携して様々なプロジェクトを展開しています。

それはまるで、スマートフォンに様々なタイプのアプリが提供され、日々進化していることが連想されますが、今後もこの動きは続いていくものだと思います。さて、次のページでは、そのような動きの背景と、そこから垣間見えるスマートハウスの問題点について考えていきます。