ランニングコストの上昇額を把握する
近頃は、マンション購入ビギナーの方からも「長期修繕計画」についてのご相談が増えてきました。新築でピカピカだったマンションも経年劣化していきます。定期的に雑配管を清掃したり、数年ごとに鉄部のサビを塗装したり、と計画に基づいて修繕が行われますが、新築マンションはおおよそ15年程度経過した頃に大規模修繕をおこないます。足場を組んで外壁の塗装をやりかえたり、屋根の塗装や防水を補修したり。そのような10年、20年、30年と中長期にわたる修繕計画を示したものが「長期修繕計画」です。長期修繕計画には補修や修繕の予定が記載されるとともに、その費用の軍資金となる修繕積立金についても記載があります。マンションの修繕は、古くなるほど費用も規模も大きくなります。多くのマンションでは、修繕積立金を値上げし大規模修繕に備えるプランを立てています。
当初は、「安い。払える」と思っていた修繕積立金が、10年後に5,000円、15年後に5,000円とアップしていけばどうでしょうか。毎月の金額を上げるとともに定期的に一時金を払うことを予定しているマンションもあります。ランニングコストが上昇するタイミングで、金利があがり、支出が増え、給与はふえない。そのようなこととなっても余裕のある住宅ローン返済が可能でしょうか。自分予算プランニングの段階で長期修繕計画をチェックし、いついくら上昇するのかを把握し、予算計画に盛り込みます。
「たられば」の収支予測を
将来のことは誰にもわかりません。自分予算プランニングでは、「修繕積立金が予定通りに上昇したら」、「変動金利が2%上昇したら」、「支出が1.5倍に増えたら」「結婚したら」「結婚しなかったら」と可能性を見込んで試算していきます。その際、ハッピーシナリオだけでなく、最悪のシナリオを想定しておくと、最悪の事態が見えて安心感に繋がるのでおすすめです。修繕積立金や管理費は、住宅ローンのように終わりがなく、住んでいる限り支払う必要があります。例えば、11年目から5年ごとに5,000円ずつ修繕積立金が上昇したとすると、11年目から30年間の増加額は630万円です。当初1万5,000円だった修繕積立金は、60歳時には3万5,000円です。これに、支出の増加、変動金利だった場合の金利の上昇、こどもの教育費などが重なってくると大変です。退職し、勤労所得がなくなっての3万5,000円の負担はきついことが予測されます。そのために貯蓄もしておかねばなりません。
ぜひ、目の前の買える、買えそうという思いやイメージで、購入を決断するのではなく、将来の自分と向き合って、自分予算プランニングのもと、自分らしく豊かで幸せなマンションライフをつかんでください。