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子連れ移動の鬼門、公共交通機関で泣く子どもの理由(3ページ目)

夏の子連れ旅行、ワクワク楽しみな反面、子連れで飛行機や新幹線などを乗り切れるのかと、不安な方も多いでしょう。何を隠そう、ガイドも子連れで公共交通機関に乗るのが恐怖だった時代があります。そのワケは……。

河崎 環

執筆者:河崎 環

子育てガイド

子連れで電車に乗るのが怖い

電車

子ども連れで電車に乗るのが怖い

決定的だったのは、混雑するので有名な路線に、夕方に乗らねばならなかったときだ。もちろん抱っこ紐で密着していたが、混雑する車内で急行一区間10分の距離をどう乗り切るか、息子が好きなおもちゃやお菓子や飲み物やらをたった10分のために山盛り用意して、比較的混んでいない車両に乗車した。

息子は乗車直後からぐずり始め、2分後には既に大泣きしていた。おもちゃやお菓子を出すが、全部投げ捨てて抱っこ紐の中で仰け反って泣く。抱っこ紐から外して抱き上げるが、歩けるわけでもないくせに私の腕から出て行こうとする。

既にまあまあ混んでいる車内では、どこの子どもがこんな大音量で泣いているのかと乗客たちが首を伸ばして見回し、乗客の中に当惑と苛立ちが広がり始めた。

どうにも泣き止まない息子に「もうあと少しよ」と何度言っても息子の耳には届かず、また暴れる拍子に、息子は私の太いネックレスを引きちぎった。

大粒のビーズがバラバラと音を立てて乗客の足下に散らばり、一人のビジネスマンが集めたいくつかのビーズを手渡しながら「座って下さい」と席を譲ってくれたものの、私の膝の上でも息子は暴れ続け、左右に座った客に恐縮した私は、また立ち上がる。

いっそ、床に置けばいいのかと思った。混雑している電車の床に置いてハイハイさせれば この子は満足するのか? それも違うと大泣きする。さっきネックレスがちぎれた時のブツッという鈍い音が、まだ耳に残っていた。生後1年でそんな力を出す息子を、普通の子どもなら何の抵抗もなくできることを大声で拒否する息子を、私はそのとき、全く理解できずに怖いとさえ思った。

たった10分の道程が、あんなに長くていたたまれなかったことはない。でも、そのいた たまれなさは、同じいたたまれなさを感じたことのある人にしか伝わらないこともよくわかっている。

あの焦りと困惑と恥ずかしさと怒りと悲しみのパニックは、理屈じゃどうにもならない。「乗り切るしかない」。あるいは「降りるしかない」。今ならそう思う。でも、その10分は急行一駅、それは「乗り切る」以外に方策がなかったのだ(笑)。


>> それはいずれ帳尻の合う、発達の問題だった
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