災害救助法が適用になる九州北部豪雨
かつてないほどの豪雨に見舞われた九州北部
2012年の九州北部豪雨で被災された皆様には、心よりお見舞い申し上げます。
今回の九州北部豪雨では、これまで経験がないといわれるほどの激しい雨が降り、各地で河川の氾濫や土砂崩れなどの大きな被害が発生しています。
2011年の東日本大震災、そして2012年の5月にはつくば市を中心に竜巻等による深刻な被害が発生しましたが、このように地域に一定規模の被害をもたらした災害については、市区町村単位で災害救助法や被災者生活再建支援法が適用となります。今回の九州北部豪雨についても、今回、大分県・熊本県・福岡県の一部の市町村に災害救助法が適用されています。したがって、適用地域で被災された方は、緊急に必要となる以下のような各種措置が受けられます(参照:『竜巻被害は火災保険でカバーできる』)。
●災害救助法が適用されると受けられる措置
[1]避難所、応急仮設住宅の設置 [2]食品、飲料水の給与 [3]被服、寝具等の給与 [4]医療、助産 [5]被災者の救出 [6]住宅の応急修理 [7]学用品の給与 [8]埋葬 [9]死体の捜索及び処理 [10]住居又はその周辺の土石等の障害物の除去
なお、被災者生活再建支援法は、今回は大分県と熊本県・福岡県・鹿児島県の一部に適用されています(2012年7月19日現在)。大きな災害が起こったとき、どのような法律が適用されどのような支援をどこまで受けることができるのかを知っておくことは、いつ起こるかわからない不測の事態に対して、冷静に対処するための1つの要素といえます。
●被災者生活再建支援金対象世帯
1、 住宅が「全壊」した世帯
2、住宅が半壊、又は住宅の敷地に被害が生じ、その住宅をやむを得ず解体した世帯
3、 災害による危険な状態が継続し、住宅に居住不能な状態が長期間継続している世帯
4、住宅が半壊し、大規模な補修を行わなければ居住することが困難な世帯(大規模半壊世帯)
被災者生活再建支援金の内容
通帳や印鑑がなくても預金を引き出せる
災害救助法の適用決定が決まると、各省庁でもいろいろな対応を行います。
私たちの暮らしのお金にかかわる面でいうと、金融庁では今回、日本銀行と財務省九州財務局の連名で、熊本県内の関係金融機関等へ被災者の便宜を考慮した適時的確な措置を講ずるよう要請しました。
●銀行等
被災者が預金を下ろす時、通帳等がなくても預金者であることを確認できれば払い戻しに応ずること、印鑑がなくても拇印で応ずること、貸出金の返済猶予等の措置
●保険会社・共済
保険証券がなくても可能な限り便宜を図ること、できる限り保険金の支払いを迅速に行うこと、保険料払込猶予など
●証券会社
届出印鑑喪失時の便宜措置、有価証券喪失時の再発行手続き、有価証券の売却・解約代金の即日払いの申し出に対する便宜措置
さらに各金融機関等はこうした措置を行うにあたり、ホームページや店頭ポスター、新聞等により周知徹底を行わなければなりません。
住宅ローンが残った住宅に被害を受けたとか、預金を下ろしたいのに預金通帳や印鑑がなくなった、あるいは保険証券がなく保険金の請求先がわからないなどの場合でも、被災した方は上記による措置を受けることができます。困った場合は取引先に申し出てください。
次のページは、昔契約した長期火災保険の補償について解説します。