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政府 「住宅ローン減税」の延長・拡充を本格検討(2ページ目)

7月に入り、政府が「住宅ローン減税」の延長・拡充に向けた本格議論を始めました。現行では2013年で終了することになっており、このままでは14年以降、住宅消費を冷やしかねない心配があります。同時に、消費増税による駆け込み需要の反動減が懸念されるため、その対応も避けられません。はたして、どのような改正案が浮上しているのか、検討内容を見てみましょう。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド


住宅産業にとって「住宅ローン減税」は、いまや必要不可欠な重要施策 

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「住宅ローン減税」には住宅取得を後押しするインセンティブ効果がある。

これまで住宅ローン減税は何度も延長されてきましたが、最も記憶に新しいのが2009年度の税制改正です。当時は2007年頃に再燃した米国サブプライムローン問題に、2008年9月にはリーマンショックの勃発と、日本経済は景気後退局面へ突入していました。そこで、世界的な金融経済変動に対応し、内需主導による持続的な経済成長を実現すべく、住宅ローン減税が5年間、延長されました。所得税から控除しきれなかった額を個人住民税から控除できるようになったのも、2009年からです。

住宅産業は裾野が広いだけに、マイホームの売れ行きが鈍ると、単に不動産会社が不振になるだけではなく、住宅設備・家電・引越し業者と、あらゆる関連業界がダメージを被ります。経済効果の大きい住宅消費を刺激することで、減速する景気に歯止めをかけたい考えでした。国土交通省の試算(当時)では、個人住民税も対象とした住宅ローン減税の延長・拡充により、約4兆円の経済波及効果が生まれ、約21万人の雇用創出が期待できるとしていました。

住宅ローン減税の変遷

 

しかし、人気の住宅ローン減税も現行では来年2013年で終了します(上表参照)。

2014年4月からは消費税率が8%に引き上げられる予定のため、2013年は「住宅ローン減税の終了」+「消費税率5%の適用」による“ダブル”の駆け込み需要が発生し、住宅市場は活況を呈することでしょう。心配なのはその翌年(2014年)以降で、需要の先食いによる反動が起こり、市況は低迷を余儀なくされます。これでは市場の拡大にはつながりません。

最大控除額が引き上げられ、住民税からの控除枠も拡充される方向で調整 

そこで、2014年以降も継続(延長)するとともに、所得税が少ない人でも減税の恩恵が受けられやすくなるよう、税額控除の対象となる住民税の控除枠を拡大し、現行、9万7500円としている上限を引き上げる方向で議論が進んでいます。

住宅ローン減税は制度上、「年末の住宅ローン残高×1%」相当の税金が還付される仕組みですが、その本人が徴収された納税額以上は戻ってきません。そのため、「高額所得者」=「高額納税者」に有利に作用しやすいという特性があり、その対策として個人住民税の控除枠を広げることで、所得格差の解消につなげたい考えです。

さらに、報道によると最大控除額も引き上げが検討されており、2009年と10年が500万円、2011年が400万円、2012年が300万円、そして2013年が200万円と減少していく最大控除額を、2014年以降は500万円規模まで戻す案が浮上しています(7月8日付け日本経済新聞より引用)。マイホーム検討者にとって、心理的なプラス効果が期待できそうです。

                       ☆   ☆   ☆
  
今年9月には民主党の代表選挙が予定されており、また、消費税関連法案の成立と引き換えに衆議院の解散というシナリオも残るなか、年末の2013年度税制改正大綱がどうなるか気がかりです。しかし、現状を考えれば、住宅ローン減税の延長・拡充は避けて通れないでしょう。一体どのような改正内容になるのか、今後の動向から目が離せません。


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