住宅産業にとって「住宅ローン減税」は、いまや必要不可欠な重要施策
「住宅ローン減税」には住宅取得を後押しするインセンティブ効果がある。
住宅産業は裾野が広いだけに、マイホームの売れ行きが鈍ると、単に不動産会社が不振になるだけではなく、住宅設備・家電・引越し業者と、あらゆる関連業界がダメージを被ります。経済効果の大きい住宅消費を刺激することで、減速する景気に歯止めをかけたい考えでした。国土交通省の試算(当時)では、個人住民税も対象とした住宅ローン減税の延長・拡充により、約4兆円の経済波及効果が生まれ、約21万人の雇用創出が期待できるとしていました。
2014年4月からは消費税率が8%に引き上げられる予定のため、2013年は「住宅ローン減税の終了」+「消費税率5%の適用」による“ダブル”の駆け込み需要が発生し、住宅市場は活況を呈することでしょう。心配なのはその翌年(2014年)以降で、需要の先食いによる反動が起こり、市況は低迷を余儀なくされます。これでは市場の拡大にはつながりません。
最大控除額が引き上げられ、住民税からの控除枠も拡充される方向で調整
そこで、2014年以降も継続(延長)するとともに、所得税が少ない人でも減税の恩恵が受けられやすくなるよう、税額控除の対象となる住民税の控除枠を拡大し、現行、9万7500円としている上限を引き上げる方向で議論が進んでいます。住宅ローン減税は制度上、「年末の住宅ローン残高×1%」相当の税金が還付される仕組みですが、その本人が徴収された納税額以上は戻ってきません。そのため、「高額所得者」=「高額納税者」に有利に作用しやすいという特性があり、その対策として個人住民税の控除枠を広げることで、所得格差の解消につなげたい考えです。
さらに、報道によると最大控除額も引き上げが検討されており、2009年と10年が500万円、2011年が400万円、2012年が300万円、そして2013年が200万円と減少していく最大控除額を、2014年以降は500万円規模まで戻す案が浮上しています(7月8日付け日本経済新聞より引用)。マイホーム検討者にとって、心理的なプラス効果が期待できそうです。
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今年9月には民主党の代表選挙が予定されており、また、消費税関連法案の成立と引き換えに衆議院の解散というシナリオも残るなか、年末の2013年度税制改正大綱がどうなるか気がかりです。しかし、現状を考えれば、住宅ローン減税の延長・拡充は避けて通れないでしょう。一体どのような改正内容になるのか、今後の動向から目が離せません。