心地いい甘さと後味の香ばしさ「天の川」
蒸留機。こちらのものは「首が長い」。これで味わいの個性が決まるのだ
昭和53年に建てられた緑に囲まれた静かな工場にてお話を伺う。「ここは自然の段差を利用して仕込みがしやすい設計になっています」とは、四代目の西川幸雄社長。
ラベルはスタッフの方の手張り
「蒸留機の首が長いとマイルドに仕上がります」と手入れの行き届いた蒸留機を前に説明してくださる社長。蒸留後は、樫樽、ステンレスタンク、ホーロータンク、かめなどさまざまな素材で熟成させる。これは、原料の脂分を熟成させるためだとか。
穏やかに丁寧に説明してくださる西川社長
もうひとつの個性を生み出すポイントは、米麹にタイ米を使用すること。タイ米は濃厚なうまみが出て、熟成させてもより複雑で魅力的な味わいに変化するのだ。そのほか長崎県推奨の米「にこまる」や壱岐産「コシヒカリ」も使用する。壱岐への思いが詰まった一本になる。
左は一見ウイスキーのようなプレミアム焼酎
一見スコッチウイスキーのような「プレミアム」は1986年ヴィンテージのまさにプレミアム商品。樽からくるバニラの香りと麦焼酎らしい香ばしさと米の甘さが複雑に絡み合い、練れ、溶け合い、芸術品と変化している。バーカウンターが似合いそうな逸品だ。
世界の酒に精通している開高健が愛したのもわかるような気がする。製造量が少ない、いわば希少価値の高いブランドでもある。通なら要チェックだ。
天の川株式会社