入居者の立場になって考える
テナント・リテンションを高めるためには、オーナーさんの入居者への日々の対応が大切になります。ある統計によると、これまで住んでいた部屋を退去する原因の85%は、就職や転勤、あるいは結婚して家族が増えた、親と同居することになった等の、移動せざるを得ない理由によるものです。最近では会社の住居手当がなくなる、あるいはリストラといった理由もあります。残りの15%については、現在の住環境や管理への不満が原因です。つまりオーナーさんの努力不足が原因で入居者が退去してしまったのです。
たとえば真冬に部屋の給湯器が故障したとします。入居者はこの寒い時期に冷水しか使えないのです。お風呂にも入れません。あるいは真夏にエアコンが故障してしまったら、入居者はうだるような暑さの中で夜も眠れない思いをすることになります。
このようなクレームが出たときには迅速な対応が何より大切です。どれほど迅速に対処できたかが、入居者の満足度やその物件への評価に直結します。「賃貸経営はサービス業である」という意識を持ったオーナーさんであれば、即座に業者に連絡を入れて修理あるいは交換を手配するでしょう。すばやく対応して問題を解消できれば、入居者からは感謝の声が寄せられるはずです。
ところがサービス業という意識の薄いオーナーさんは、そんなときでも面倒くさがって、不動産会社や管理会社にすべてを任せがちです。そうなると入居者は、何日間も水しか使えない状態になることも起こりうるのです。そんな対応をされた入居者は、管理に強い不満を抱き、「こんなところに居続けるのはごめんだ」と思うことでしょう。
大家意識の強いオーナーさんは、頭を切り替えていく必要があります。入居者の立場になって考えれば、その時々にどんな行動を取るべきか、分かるはずです。