不動産売買の法律・制度/不動産売買の法制度

建築協定がある敷地を購入する際のポイント(2ページ目)

建築協定によって住環境の改善、向上を図っている住宅地も数多くみられます。このような敷地を購入するときには、どのような注意が必要でしょうか。建築協定制度の仕組みと合わせてみていくことにしましょう。

執筆者:平野 雅之


建築確認前における「運営委員会」との協議

建築協定については建築基準法第4章(第69条~第77条)に規定されていますが、建築協定に定められた制限については建築確認の審査対象となっていません。そのため建築協定区域の敷地で新たに建築をする際には、建築確認を申請する前に「運営委員会」で建築計画の内容についてチェックをしてもらうことが必要です。

「運営委員会」は協定区域内の住民による組織ですが、建築計画の審査のほか、建築工事中や工事完了後の物件のチェック、違反があった場合の措置、啓蒙活動、建築協定の運営・更新作業などを担っています。協定違反に対しては運営委員会の決定に基づいて運営委員長が工事停止や是正を求め、違反が解消されない場合には民事裁判によって解決が図られます。


建築協定区域隣接地とは?

建築協定区域に隣接する敷地で「将来的に建築協定区域の一部となることが望ましい土地」などについては、「建築協定区域隣接地」の指定を受けている場合があります。これは平成7年の建築基準法改正によって追加された制度で、認可後における建築協定区域の追加手続きを簡素化するものです。

建築協定の締結後に対象区域を追加する場合には、全員の合意を得たうえで新たに認可を受けなければならないのが原則です。しかし、あらかじめ「建築協定区域隣接地」の指定を受けておけば、後から参加を希望するときに、所有者等が任意に「建築協定加入届」などを提出するだけで建築協定区域の一部となることができます。

なお、建築協定区域隣接地の指定を受けているだけの段階では建築協定区域ではありませんから、建築協定の制限が及ぶことはありません。


事前協議要望地区とは?

建築協定区域外(建築協定区域隣接地を含む)の敷地であっても、建築協定運営委員会からの要望に基づき、建築確認申請前の事前協議を求められている場合があります。法的な義務はなく、あくまでも「協議のお願い」になりますが、隣接地の住民からの要望ですから、できるかぎり誠意をもって応じるのが望ましいことは当然です。


建築協定がある敷地を購入するときの注意点

建築協定の内容については、売買契約の前に宅地建物取引主任者から重要事項として詳しく説明されるはずです。しかし、上記の「建築協定区域隣接地」および「事前協議要望地区」に該当する敷地の場合には、協定による建築の制限が及ばないため、詳細な説明がないこともあるでしょう。また、不動産業者によってはその存在自体を見落とすことがないともかぎりません。購入しようとする敷地の近くに建築協定が存在することに気付いたときには、その内容をしっかりと調べてもらうように求めることも必要です。

また、新規の分譲地などで「1人協定」が作成されている場合で、周囲にまだ住宅が建っていないような敷地では、建築可能な建物のイメージが掴みづらいこともあるでしょう。このようなときは、制限の内容について十分な説明を受けるとともに、場合によっては事前に建築士などへ相談をすることも検討しましょう。

住宅地における建築協定区域内で、一般的な一戸建て専用住宅を建築しようとするときに問題となることはほとんどないでしょうが、事務所兼用住宅、店舗兼用住宅を建てたいときなどには、それが可能かどうか十分に確認することが必要です。医院兼用住宅が認められていても、動物病院は不可とされているようなケースもあります。

用途が一戸建て専用住宅に限られている建築協定の場合に、二世帯住宅を建てようとするときにも注意が必要です。玄関が1つの二世帯住宅、あるいは玄関が2つでも内部でつながっている二世帯住宅は認めるものの、玄関が2つで内部も完全に独立した二世帯住宅は禁止対象となっている事例もあるようです。

不動産業者からの説明だけでは制限内容の解釈が曖昧になるケースも考えられるため、兼用住宅や二世帯住宅、あるいは周囲と何らかの要素が異なる住宅を計画するときなどには、売買契約の前の時点で「運営委員会」に相談をしてみることも必要です。

また、上記の「建築協定区域隣接地」に指定された敷地の場合には、売買によって所有者の変わるときが参加のタイミングとなる事例も多いようです。建築協定の内容に賛同できるのであれば、積極的に参加手続きを検討するべきでしょう。


任意の建築協定などの場合

特定行政庁の認可を受けた建築協定ではなく、私的な契約に基づく住環境保全ルールが定められている敷地もあります。根拠となる法律がない任意協定で、紳士協定などともいわれますが、それを自治体が認定したうえで広報、助言などの支援をしているケースもみられます。以前は「任意の建築協定」とすることが多かったものの、最近では「(任意の)まちづくり協定」あるいは「(任意の)まちなみ協定」としているものも少なくありません。

任意であるためにその適用範囲は、認可を受けた建築協定よりも広く、建築に関することだけにとどまらず、建築物以外の工作物や道路、ゴミの出し方などに及んでいることもあります。また、法に基づく地区計画や認可を受けた建築協定と組み合わせて、不足する部分を任意協定で補っているケースもあるようです。

しかし、任意協定によるルールは地域の当事者同士で守ることが必要で、違反者に対して法的な対処はできません。そのため、自治体が違反者に対して指導をすることもありません。また、任意協定の効力はそれに合意した者のみが対象となり、新たに敷地を購入した者に対しては効力が及ばないことになっています。

とはいえ、一戸建て住宅地に住むときには近隣との関係がたいへん重要です。任意ではあっても、近隣の住民同士が互いに協力し合って運営している協定ですから、このような敷地を購入するときには自ら積極的に参加し、住環境の向上に努めていきたいものです。


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