生まれたての新芽のエネルギッシュな働き
「スプラウト」とは、英語で植物の新芽の総称。植物の種子には、生命を維持するのに必要な栄養成分が凝縮されています。その栄養成分やエネルギーを一挙に解き放って、新芽を出します。その瞬間、植物ホルモンが作られ、新たなビタミンやミネラル、アミノ酸などの栄養素や酵素を作り出します。ブロッコリースプラウトに含まれる「スルフォラファン」は、アブラナ科の野菜に含まれる辛み成分イソチオシアネートの一種。1997年に、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学のタラレー教授が発見し、「発芽3日目頃の新芽には通常のブロッコリーの20~50倍ものスルフォラファンが含有されている」と報告したことで、アメリカのヘルシー志向の人からブームが始まりました。
肝臓の解毒機能に関わるスルフォラファン
「スルフォラファン」がどのように、肝臓の解毒機能を高めるように働くのか、もう少し詳しく説明しましょう。肝臓の「解毒機能」には、解毒するための代謝酵素(解毒酵素)が欠かせません。この解毒酵素は、肝臓でつくられ、体内に入ってきた毒物や不要物を無害な成分になるように代謝するプロセスで、解毒して体の外に排泄します。
日々の暮らしの中で、ストレスや疲労がたまっている、食べ過ぎ、飲み過ぎが続くなどといった乱れた生活習慣が続くことで、また加齢によっても、この酵素をつくる働きが弱まります。肝臓の解毒機能を高めるには、この解毒酵素を活性化させることが鍵となります。
ブロッコリースプラウトにはスルフォラファングルコシノレートというファイトケミカル(栄養素とは異なる植物に含まれる化学成分)が含まれ、体内でスルフォラファンという成分に変化し、解毒酵素を活性化するということが、アメリカのタラレー博士の研究で報告されました。
スルフォラファンは、例えば有害物質に直接働きかけて無害化するのではなく、人間が本来もっている解毒酵素を増産し、肝臓の解毒力を促すのです。
特に発芽3日目のブロッコリースプラウトには、成熟ブロッコリーの20~50倍のスルフォラファングルコシノレートが含まれていることもタラレー博士により解明されました。
動物レベルですが、ブロッコリースプラウトのスルフォラファンの有効性について、肝障害を抑制する効果(肝障害のマーカーとなるGOT、GPTの数値を低下させた)があるという実験報告もあります。
また解毒酵素は、毒物や不要物を解毒するだけでなく、活性酸素による細胞の酸化によるダメージを保護する働きもあると考えられ、つまりアンチエイジングのサポートにもなるといえそうです。
ブロッコリースプラウトのよさは、スルフォラファングルコシノレートは熱に強いので、サラダや和え物はもちろん、加熱料理にも使えます。ただし、水溶性なので茹でて汁を捨てると減りますから、汁ごといただく味噌汁やスープがよいでしょう。
ただし、あくまで食品ですから、薬のような期待はできませんし、よいものだからといって、偏った食べ方をするのは禁物です。まずは栄養バランスのとれた食事や生活リズム、ストレス発散なども心がけた上で、おいしく、上手に食事に取り入れるとよいでしょう。
参考/
・2010年「人間ドックの現況」(公益社団法人 日本人間ドック学会)