Lady Gagaが受けるのなら
ジュリーももっと評価されてしかるべき
ガイド:以前、「90%はタイトルありき」とのAMIさんの発言がありましたが、「 ファッション革命 」もそうですよね。デヴィッド・ボウイの「Fashion」にインスパイアされつつも、沢田研二のアルバムに入っていそうな曲。やはり、AMIさんの遺伝子にジュリーがいる証拠かと考えます。
AMI:
デヴィッド・ボウイの曲を聴いて「ファッション」と思いつき、さらにそこになぜか「革命」をくっつけたら、なんか妙な曲名が1個出来ましたって感じです(笑)。いつもだいたい始めに曲名を考えてから詞を書くわけですが、語感がいいとか悪いとか、オレの曲名の付け方なんてかなりいい加減なものです(笑)。それにしても、Lady Gagaが受けるのなら、あの時代のジュリーも今こそもっと評価されてしかるべきだと思います。個人的には70年代後半から80年代前半にかけてヒットを飛ばしていた、一番ギラついていた頃のジュリーが大好きです。奇抜なファッションとドラマチックで革新的なサウンドとともに、この日本で「グラム歌謡」というか「ニューロマ歌謡」というか、そんな前人未到のジャンルを唯一実践した……あ、もちろん、近田春夫先生が率いたハルヲフォンの存在も忘れちゃいけませんが……とにかく、偉大なシンガーです。中でも白井良明さんが編曲面で多大な貢献をしている「ミスキャスト」というアルバムは名盤にして大好きな1枚です。
犬の着ぐるみを着て足踏みオルガンを弾きながら歌うJONさん
ガイド:「滿民の敵」は、インチキ臭さが素敵なJON(犬)さんとのデュエット曲。名前だけ聞いたら男性のようですが、JONさんは女性なんですよね。彼女とのデュオアルバムを画策中らしいですが、実現する可能性は?
AMI:
彼女は、“犬の着ぐるみ”を着て足踏みオルガンを弾きながら歌う、というパフォーマンスを長年続けています。ジョン・ゾーンのレーベルからCDを出したり、ハードコアパンクのドラマーの人とユニットを組んだりしている凄い人です。普段はアバンギャルドな匂いの強い彼女ですが、ポップな歌モノを歌わせてみたい、というオレの勝手な思いつきに今回、無理矢理付き合っていただいたわけです。本人もデュエットは初体験らしく、非常に楽しんでくれたようで、今後もまた何か一緒に出来ればとアイデアを練っている最中です。
レナード・コーエンやジョニー・キャッシュが目下の目標
ガイド:「ラスト・カーニヴァル」は、 混沌としたロックンロール。 でも、“男の哀愁”路線はほとんどAMIさんのカルマですね。
AMI:
曲の前半は、白いタキシードを着てシャツがはだけたままタコ踊りをしているブライアン・フェリーをイメージし、後半はストーンズの「悪魔を憐れむ歌」への勝手なオマージュも入っているヘンなR&Rナンバーです。それにしても、“男の哀愁”が滲み出るようになるまでには最低あと2、30年は音楽を続けなければならないのだろうなという気がしています。レード・コーエンやジョニー・キャッシュが目下の目標です。