タイトル曲「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」への賞賛の声
本心でないにせよ、光栄
ガイド:続く、アルバム・タイトル曲でもある「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」……ムーンライダーズの『ヌーベル・バーグ(Nouvelles Vague)』は、大好きなアルバムです。今回のアルバムに対してムーンライダーズの白井良明さんが、なんと「ムーンライダーズより、好きだな」とコメント! そんなこと言ってしまっていいのだろうか(?)と思いつつ、最大級の賛辞ですよね。
AMI:
ちょうど、ライダーズが無期限活動休止宣言を出した直後にいただいたコメントだったので、正直ドキっとしたのを覚えています。あまりにオレが「コメントをくれ!くれ!」と、うるさくしたので、これくらい言っておけばおとなしくなるだろう、と思ってのコメントだったのかもしれません(笑)。例え、あのコメントが良明さんの本心でないにせよ、光栄なことに違いありません。
ガイド:
もちろん、ライダーズのアルバムや映画としてのヌーヴェルヴァーグに対する悪意ではないのは十分承知した上で、ヌーヴェルヴァーグを題材にしようとしたのは何故ですか?
AMI:
確かにライダーズの「ヌーヴェルヴァーグ」も好きですし、ヌーヴェルヴァーグと呼ばれる映画の中には好きな作品……例えばゴダールの「アルファヴィル」などいくつかありますが、今回、成り行きでそうなっただけで、特にヌーヴェルヴァーグについて熱心に語っているわけではありません。たまたまニック・ケイヴの詩集を見ていたら「馬鹿ヨーロッパ」というおかしな題名が目に入り、そこからふと「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」というタイトルが思いついたので、それで1曲作ろうと、ただそれだけなんです。
曖昧模糊としていたあの時代
ガイド:「ドライ・フルーツ/ドライ・サン」「ファッション革命」は、デヴィッド・ボウイを意識して作られた曲だと理解していますが、前者の方は意図せずして……退廃的なムーンライダーズって感じもします。
AMI:
70年代後半から80年代初頭にリリースされたレコードが放っている空気感が大好きです。まあ、あの頃のデヴィッド・ボウイもそうですが、グラムロックやモダンポップと呼ばれた音楽と、それと前後して出てくるニューウェイヴ勢などが重なり合い、曖昧模糊としていたあの時代の匂いが再現できていれば成功です。“退廃的なムーンライダーズ”っていう指摘は初めてです(笑)。