走る高級キャビン
日産の最上級モデルであるシーマがフルモデルチェンジした。先代シーマと同じくフーガをベースとしたモデルながら(ホイールベースを18cm伸ばしてリアシートの足下を広く取っている)、新型はハイブリッドのみの設定。果たしてどんなクルマに仕上がっているだろうか?今回5代目となる新型「シーマ」
新型シーマを簡潔に表現するなら、「現在の日産が持つ熟成の技術を全て投入した入魂の作」ということになる。VIPカーたるもの、本来ならシャシやエンジンを含め専用設計すべき。しかし少量生産だとコスト的に全く合わない(次世代のシーマはベンツのエンジンを搭載するものの、今回間に合わず)。
そこで既存のシャシやエンジンを使いながら、徹底的に磨き込むことにしたのだろう。例えば乗り心地。先代フーガから日産車の乗り心地が大幅に向上した。新しい世代のショックアブソーバーを使うようになったからだ。新型はさらに『ダブルピストンショックアブソーバー』という新しい設計を投入。
従来のショックアブソーバーだと微少な上下動の減衰力を上手に出せなかったため、フワフワになるかツキ上げ感のある乗り心地になってしまう。今回は緩い動きでもキッチリ減衰力を出せるようにしたという。このタイプの構造のショックアブソーバー、相当期待していいと思う。
ハイブリッドシステムはフーガと同じタイプを使うが、滑らかさを徹底的に追求。フーガだと「ドン!」というクラッチの断続ショックを感じる場面も出ていたけれど、ダメ出しをキッチリ行い全て対応した。ちなみにエンジンとモーターの出力を合計したシステム出力は370馬力程度と強力。
走り始めたらエンジン音と逆の音を出し、静粛なキャビンとしている。すなわち車内がノンズキャンセル機能付きヘッドホンになっているようなもの。もちろん救急車のサイレンなど外部から入ってくる音についちゃノイズキャンセルの対象外になっているので、クルマの騒音のみ無くなった、ということ。
吸音タイヤを初採用。さらに後席をより重視したチューニングを施したアクティブノイズコントロールを搭載するなど、高い静粛性を実現している