日本庭園の様式
ここでは、時代ごとの代表的な庭園様式を簡単にご説明します。庭が作られた頃の時代背景がわかっていると、庭園もより理解しやすいかもしれませんね。
■飛鳥・奈良時代
- 神仙(蓬莱)思想の庭
神仙思想とは、海の彼方にある蓬莱、方丈などの神山に神通力を持った神仙が住むという中国の民間思想のこと。不老不死が得られるという思想に基づき、庭に池泉を配し、その中に神山に見立てた島を作った。
例:平城京三条二坊宮跡庭園(遺構)、蘇我馬子の邸宅にもこの庭があったとされる
- 寝殿造り庭園
寝殿造り庭園とは当時の貴族の邸宅に作られた庭のこと。広々とした庭には中島を築いた池泉を設け、湧水(ゆうすい)から遣水(やりみず)を通して池に水を流した。庭では儀式や宴などが催されたとされる。 - 浄土式庭園
平安後期になると「末法思想」が広まったことから、浄土曼荼羅図をもとに現世に極楽浄土の世界を再現しようと作られた庭。
例:平等院、毛越寺
- 禅の庭
禅宗の広まりにより、庭もその影響を受ける。夢窓国師(疎石)による、自然の一部を切り取ったような景色を組み合わせて一つの庭としてまとめる「残山剰水」という作庭法が有名。
例:天竜寺、恵林寺
砂紋で流れを表現した枯山水
- 枯山水
これまでの池泉の庭と異なり、水を用いずに白砂で流れを表現したり、石で島を表現した庭。
例:竜安寺、大仙院
- 城郭庭園
当時の権力者たちの城郭に作られた、豪華な庭園。
例:醍醐寺三宝院、二条城二之丸庭園 - 茶庭
茶道の確立に伴い、茶室へ通じる路に設えられた庭(露地とも)。蹲(つくばい)、灯籠、飛び石などを配した庭は、現代の和風庭園の形に受け継がれている。
- 廻遊式庭園(池泉回遊式庭園)
諸大名の屋敷に池泉を設け、自然の景観を取り入れて作られた庭。園路を歩きながら鑑賞する大名庭園。作庭家として、小堀遠州(こぼりえんしゅう)が有名。
例:兼六園、小石川後楽園、六義園、桂離宮など
江戸幕府が瓦解し欧米諸国の文化が入ってくると、庭も芝生を取り入れるなど西洋風の庭園が作られるようになる。この時代の作庭家としては、小川治兵衛が有名。
例:無鄰菴庭園、三渓園、旧古河庭園など
ちなみに日本三名園は、金沢・兼六園、岡山・後楽園、水戸・偕楽園で、いずれも回遊式庭園になっています。