こうした被害を受けた場合、種々の公的な支援を受けることができます。また、任意に契約している火災保険・共済などからカバーを受けられることがあります。以下で具体的に見ていきましょう。
仮設住宅の開設、応急修理費57万円などを給付
自然災害の被害を受けてしまったときは、どんな公的支援が受けられるか確認しよう
自然災害により一定の被害が生じた市町村には、災害救助法が適用されます。その目的は「国が地方公共団体、日本赤十字社その他の団体及び国民の協力の下に、応急的に、必要な救助を行い、災害にかかった者の保護と社会の秩序の保全を図ること」とされ、緊急に必要となる各種の措置が受けられます(表参照)。
具体的には、避難所や応急仮設住宅が開設されたり、食料や飲料水、衣服や寝具等が給与され、最低限必要な「衣・食・住」が確保できることになります。また、住宅の応急修理に対して57万4000円以内が給付されたり(2017年度現在)、住居に被害を受けて失った子ども(小学生・中学生・高校生)の学用品類が支給されるなど、被災後でもすぐに必要となる諸々のものが確保できることになります。
災害により市町村の人口に応じた一定数以上の住家の滅失がある場合等(例 人口5,000人未満 住家全壊30世帯以上)
●災害救助法が適用されると受けられる措置
[1]避難所、応急仮設住宅の設置 [2]食品、飲料水の供与 [3]被服、寝具等の給与 [4]医療、助産 [5]被災者の救出 [6]住宅の応急修理 [7]学用品の給与 [8]埋葬 [9]死体の捜索及び処理 [10]住居又はその周辺の土石等の障害物の除去
2012年5月の竜巻では、茨城県はつくば市、常陸大宮市、筑西市および桜川市に対し、栃木県は真岡市、芳賀郡茂木町および益子町に対し、災害救助法が適用されました。これらの措置を受けるためには、市町村や都道府県等の窓口へ申請が必要です。
り災証明書の発行を受け、支援金の申請を
また、住宅が全壊等した世帯に対しては、被災者生活再建支援法による支援金の給付もあります。東日本大震災のケースと同様、最大300万円の支援金が支払われます。
支援金は2段階で、住宅の被害程度に応じ、全壊で100万円、大規模半壊で50万円の「基礎支援金」が支払われます。さらに住宅の再建方法に応じ、200万円から50万円の「加算支援金」が合わせて支給されます。
たとえば、マイホームが全壊したら基礎支援金100万円、その後住宅を再築したら200万円の加算支援金が支払われます。あるいは、全壊家屋を建て直さずに賃貸住宅暮らしに切り替える場合は、100万円の基礎支援金と50万円の加算支援金が支給されます。なお、この支援金は持ち家、賃貸問わず受け取ることができます。これらの支援金を受け取るには、家屋の被害の程度を判定する「り災証明書」が必要です。
●被災者生活再建支援金対象世帯
- 住宅が「全壊」した世帯
- 住宅が半壊、又は住宅の敷地に被害が生じ、その住宅をやむを得ず解体した世帯
- 災害による危険な状態が継続し、住宅に居住不能な状態が長期間継続している世帯
- 住宅が半壊し、大規模な補修を行わなければ居住することが困難な世帯(大規模半壊世帯)
※住宅が全壊等または大規模半壊した世帯が対象。持ち家・賃貸問わず給付される。単身世帯の場合、支援金の額は4分の3。
内閣府「被災者支援のための各種制度の概要」より作成
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