小型株も機動的に取り込むアクティブ投信
まず、投資対象ですが、ベンチマークをTOPIX(東証株価指数)としているのに、東証1部には75%しか投資していません。残りは、東証2部、マザーズ、JASDAQと小型株市場に投資しています。この市場別構成比はときにより大きく変動します。かなり自由な裁量がファンドマネージャーに与えられているようです。JFザジャパンのポリシーは、「日本の産業構造が変化していく中で、利益成長が高く、株主を重視した経営を行っており、かつこれらの状況を市場が株価に織り込んでいない企業に投資を行います」と報告書には記載されています。条件が整えば、大型小型にこだわらずに積極的に優良銘柄に投資しているのです。
ボトムアップで有望銘柄を発掘するアクティブ投信
次に、トップダウンではなくてボトムアップアプローチが徹底されています。運用チームが年間数千件の企業取材を行った結果から、割安で成長性の高い企業を発掘して投資します。汗をかいて良い運用を実現しているのです。これに対してトップダウンアプローチとは、マクロの予測に始まり、業種別配分を定め、その枠内で個別企業の選別を行います。一般的には、トップダウンで市場平均を超えることはむずかしいと言われています。
柔軟でダイナミックにリターンを追求するアクティブ投信
3番目の高回転ですが、上記の銘柄選択を柔軟に、ダイナミックに繰り返していきます。つまり、良い銘柄と思ったモノでも、結果が出ないときには執着せずにさっさと売っているということです。そうして、新しい業種、新しい銘柄をどんどんと開拓して、ポートフォリオを変えていきます。投資信託で回転するとは、中の銘柄が入れ替わることですが、それが直近の運用報告書では4.75倍と発表されていますから、3ヶ月に一度は全銘柄が入れ替わっている計算となります。
その変化の激しさを、3ヶ月ごとの上位10業種の推移で、さわかみファンド、インデックスファンド(TOPIXオープン)と比べてみました。
一番右側のTOPIXオープンは三菱UFJ投信が運用しているインデックスファンドです。東証一部の銘柄構成をそのままコピーしたようなポートフォリオを目指していますから、業種にはほとんど変化がありません。しかも、電気、機器、銀行、IT、化学、卸売、医薬品、小売、陸運と上位業種は常連の顔ぶれです。
それが、さわかみファンドになると、運用会社のこだわりにより、個性が出てきます。たとえば、銀行、IT、卸売などが上位に出てきません。代わりに、ガラス土石製品やゴム製品、精密機器など、日本らしい物作り業種に注目していることが分かります。それでも、3ヶ月ごとの異動はほとんどありません。信念を持って企業を応援する思い入れが見て取れます。
上位業種という点でも、JFザ・ジャパンは異色です。東証一部の上位にいる化学、機械、陸運などが登場しない代わりに、サービス業、小売業、空運業などがトップ10に入っています。しかも、3ヶ月ごとの異動は頻繁です。不動産業、建設業の浮沈も激しく、2012年3月末には、これまで上位に出てこなかったその他金融業や証券商品先物取引業が上位に食い込んできました。
その他金融業とは、いわゆるノンバンクと呼ばれる信販会社、リース会社、消費者金融会社などです。証券商品先物取引業とは、大手証券会社やネット証券に加えて、FXや商品先物のプラットフォームを提供している会社で、近年は競争が激化している業界なのです。
>>卓越したパフォーマンスの裏には確かなリソースがありました。では、このパフォーマンスは今後も続くのでしょうか