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投資信託法見直しへ。今投資家に求められること(2ページ目)

投資信託法が見直される方向で進んでいます。高いリスクを伴うこと、そして配当金の出し方に待ったがかかることにないそうです。このような状況で投資家は何をすればいいのでしょうか。

川崎 さちえ

執筆者:川崎 さちえ

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通貨選択型投資信託の大きなリスク

ガイド:通貨選択型投信についてはどのような規制がかかるのでしょうか。

中野社長:通貨選択型の投資信託にも制限がかかります。通貨選択型は、株や債券などの投資対象だけではなく、通貨も選択できる投資信託です。ということは、投資先の運用にプラスして為替の金利差によって「為替ヘッジプレミアム」が付きます。また為替は常に変動するので、為替差益を得ることも可能です。つまり、収益を狙えるポイントが3つもある投資信託になるわけです。
たとえば2016年の夏季オリンピックの開催が決まったブラジルでは、将来の成長性を見込まれたために、ブラジルレアルを使った通貨選択型はとても人気がありました。しかし、リスクがとても高いうえに、投資家が通貨選択型の仕組みをよく理解していないという問題があります。そのため、通貨選択の場合、デリバティブと呼ばれる金融派生商品をトッピングするのを制限することになります。

ガイド:仮に規制がかかったら、市場に混乱が起きる可能性は否定できません。そのとき個人投資家はどうすればいいのでしょう。

中野社長: 規制の有無に限らず、例えば、米国ハイイールド債券ファンド・通貨選択型ブラジルレアルシリーズの場合、昨年のギリシャ危機の時のように世界のマネーがリスク回避となった時には、原資産のハイイールド債の価格が暴落すると同時に、ブラジルレアルの通貨価値も急落する、といった局面があります。こうした一時的な市場全体の混乱の時、ダブルで取ったリスクはダブルで被ることになり、市場の下げ幅より遥かに大きなファンドの価格下落に見舞われることになるのです。こうした状況に直面した時、個人投資家である「自分」がそのストレスに耐えられるかの覚悟を持てなければ、通貨選択型ファンドは持つべきではないでしょう。

投資信託保有者がすべきこと

ガイド:今、毎月分配型や通貨選択型の投資信託を持っている人は、どうすればいいのでしょうか。

中野社長:その投資の中身や仕組みに疑問を持ったのであれば、速やかに売却するのが良いのではないでしょうか。理解できないものをずっと持っているのは適切ではありません。よくあるケースは「今は含み損になっているから、買値に戻ってから売却しよう」と考えること。これを「買値の呪縛」といいます。含み損となったファンドで必ずしも取り返さずとも、速やかに他の納得できるファンドに切り替えて、そちらで回復を待つことの方が明らかに賢明で合理的な選択です。但し、ファンドを売却して現金化してしまったら、これは現実損、つまり損金の確定です。何より運用は、継続させることが一人一人にとって大切なことなのです。

投資家たちの意識の問題 ~取材後記~ 

こういった問題が世間に取りざたされたとしても、「自分事」として捉える人は案外少ないかもしれないとガイドは思います。その理由のひとつは、投資信託を買っている人が高齢であり、自分ではわからないからお任せするというスタンスをとっているケースが多いからです。

ただ、ここで確認しなければならないのは、投資する側ももっと真剣に知ろうとしなければならないことです。不勉強のまま言われるままに投資信託を買うことが、どれだけのリスクなのかをしっかり認識することがとても重要なのです。

そして複数の投資信託を並べたときに、どこが違うのかが分かり、さらにどう違うのかが分かるというレベルの知識が必要です。

投資信託を売る側への規制をかけることでより良い商品ができてくることに加え、投資家の知識が向上することが、中野氏が言う「金融立国」には必要なことなのではないでしょうか。むしろ、個人投資家の金融リテラシーが高まらないと、同じような過ちは繰り返され、日本が金融立国になるのは果てしなく遠いと思います。

今、ここで投資信託法が見直され、それが呼び水となって適切な運用ができる金融の世界になることを願ってやみません。

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