高リスク投資信託にいよいよ金融庁のメス?
2012年1月、金融庁が投資信託法を見直すというニュースが流れました。投資信託法は、投信を運用する企業がきちんと運用をして、投資家に還元できるようにする、なおかつ投資家を保護し、投資によって経済の活性化の土台を作るために作られた法律です。その法律がなぜ見直されるのかというと、毎月分配型の投資信託や通貨選択型の投資信託のリスク等を、売り手である金融機関が購入者である投資家にきちんと説明しないまま購入を勧め、のちのち金融機関と投資家との間でトラブルになるケースが増加しているためです。ニュースはこれを問題視した金融庁が、「2013年の通常国会に投信法改正案を提出する方針となった」という内容でした。
この流れを、実際に投資信託を設定・運用する投資信託会社はどう見ているのでしょうか。親会社である金融機関が販売の役割を担い、子会社である運用会社は親会社が売りやすい投信信託を設定・運用するという構造をとることの多い日本の投資信託マーケットにおいて、銀行や証券会社などを通さずに販売する、いわゆる直販型投信会社であるセゾン投信の中野社長にお話を伺いました。
ガイド:投信法見直しのニュースを聞いてどう思われましたか。
中野社長:今回の改正では、個人投資の新しいあり方が示されると思います。金融の世界が変わっていくきかっけとなる可能性もあります。日本の莫大な個人資産が本来あるべき姿の投資に動き出すのであれば、「金融立国」としての日本になる可能性が出てきます。今回金融庁が投資信託法の改正案を国会に提出することで、投資信託の世界にメスが入ることを期待しています。
毎月分配型投資信託の問題点
ガイド:そもそも毎月分配型で高配当の投資信託にはどのような問題があるのでしょう。中野社長:まず大きな問題として、配当金を元本から取り崩すことが可能だという点です。値上がり益や金利・配当収入から分配金が出るのであればまだわかります。でも元本を「取り崩す」となると話しは別でしょう。ちなみに、元本を取り崩した分配金が「特別分配金」として投資家に戻ってきます。欧米と比較しても、このようなことができるのは日本だけです。
今、日本で売られている株式型投資信託は約50兆円、そのうちの約4分の3が毎月分配型で、元本を切り取り崩した特別配当金が出されている可能性が高いのです。でも、この事実を理解している人は、いったいどのくらいいるのかと思ってしまいます。