テクノポップ/アーティストインタヴュー

パリッコ~Alcoholic Tunes(5ページ目)

「おまえのDJには“魂”がねえ!!!」でお馴染みのクラブDJストームの作画担当、「大衆酒場ベスト1000」連載中のパリッコさんが、9年ぶりのニューアルバム『Alcoholic Tunes』(略して“アル中”)を5月2日にドロップ。ジャパニーズファンクの魂でフィルターハウス・リバイヴァル的エレクトロダンスミュージック!

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

スペイン感いっぱい

ガイド:
「ENCIERRO」・・・スペイン語で闘牛ですね。これは、Sak Noelの「Loca People (What The Fuck)」とかと並んでいても全然違和感がない。いや、それ以上にスペインぽいかも。どうしてスペインっぽいものを作ったのですか?

パリッコ:
Sak Noelとはこれまた恐縮ですが、ありがとうございます!実はこの曲、尊敬するchester beatty氏が立ち上げたMiMi Recordingsというレーベルの12インチレコードの第2弾に提供した曲なんです。以前パーティで競演し、光栄なことに気に入ってもらえてお声がけ頂きました。ちなみにその第1弾に収録して頂いたのが先述の「TOMATINA」で、スペインなどでも流通するというお話を伺っていたので、あの有名な、みんなでトマトをぶつけあうというバカバカしいお祭り“トマト祭り”をイメージして作ったんですよね。それで、第2弾ということでその流れで、今度は“牛追い祭り”だ!と。スペインの牛追い祭りを「ENCIERRO」って言うらしいんです。もちろんスペインに行ったことはないので、自分の中のスペイン感、牛追い感を目一杯想像して作りました!

哀愁の「芽が出ない節」

ガイド:
過剰なまでにアッパーな曲に混じって、ラストの「芽が出ない節」は少し毛色が違いますね。ユリオカ超特Qの「HAGE=RAP ~ハゲ革命★始まりの合図~」と合わせて聴きたい哀愁のラップ歌謡とでも言いましょうか、・・・才能があるのにそれを生かしきれず、30代になってしまったせつなさが伝わります。

パリッコ:

確かにこの曲のみ他とは違って、夜寝ようとしていた時にサビのメロディと歌詞がふっと思い浮かんで、慌ててヴォイスメモに録音してそこから広げていった曲なんです。よくアーティストさんが言う“降りてきた”というやつでしょうか。まさか自分にそんなことがあるとは思っていなかったので意外でしたが、歌詞の内容も含めて一番反響も多く、「音楽って案外そういうもんなのかなぁ」なんて思ったりしています。「自分の人生は完璧で最高だ!」と常に思っている人以外なら、どこかしら心に引っ掛ってもらえる部分があるんじゃないかな、と。不勉強ながら「HAGE=RAP」は今回初めて知ったのですが、なるほど自分も含め、特に男なら誰もが無関係とはいえない漠然とした不安感をJ-RAPというフォーマットに落とし込んだ、哀愁漂う名曲ですね。胸が締め付けられます。

ガイド:
では、最後に今後のパリッコさんの活動予定などを教えてください。

パリッコ:
lbt

LBT

よく活動がわかりにくいと言われる僕ですが、音楽活動をメインに面白いと思った事はなんでも発信していければと思っています。主宰しているレーベル「LBT」は「あいつら何考えてるんだろう?」と言われることを最大の喜びと感じるような面々で構成されていますが、基本となる音楽的な部分などは割と真面目に考え、今後も良質なトラックをリリースしていければと思っています。最近ですと、配信全盛のこのご時勢でありますが、ビールをイメージした黄色い盤が珍しい12インチレコードをリリースしました!よろしければ是非チェックしてみて下さい。それでは、FUNKY & BEER!

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