宝塚ファン/宝塚歌劇団 トップスターの変遷

月組トップスター霧矢大夢・蒼乃夕妃―退団(5ページ目)

2012年4月22日、月組トップスター・霧矢大夢さん、娘役トップスター・蒼乃夕妃さんが、宝塚歌劇団を卒業しました。クオリティの高い舞台を見せてくれた実力派のトップコンビでした。

桜木 星子

執筆者:桜木 星子

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早くからスターダムまっしぐらの蒼乃さん、2009年12月に全く知らない月組に組替えとなり、霧矢大夢さんの相手役に就任されます。
本公演お披露目は、星組時代に新人公演初ヒロインを務めた『THE SCARLET PIMPERNEL』のマルグリットでした。

霧矢さん80期。蒼乃さん90期。すべてにおいてクオリティの高い霧矢大夢の隣にいながらにして、蒼乃さんからはこの10年という差を感じませんでした。それがすでに、蒼乃さんの実力の高さを物語っています。

蒼乃さんの魅力は“蒼乃夕妃”であったこと。“可愛いらしく” “男役の一歩後ろを”……。そんな風にイメージされてしまっている娘役像を、いい意味で裏切ってくれました。

『Dance Romanesque』

(C)宝塚歌劇団 (C)宝塚クリエイティブアーツ

男役を従えて踊るのが似合うクールでカッコいい娘役。
最後の役となった『エドワード8世-王冠を賭けた恋-』ウォリス・シンプソン。嫌味まで言っちゃう勝気な女性でした。

では、いわゆる娘役らしい(とされている……)役は似合わなかったのか? 決してそうではありませんでした。
『バラの国の王子』のベルのふわぁ~っとした可愛らしさ、『我が愛は山の彼方に』の万姫の楚々とした美しさ。
黒や赤のドレスをたくさん持ってはいたけれど、ピンクや水色のドレスもいっぱい持っていた……。つまり、他の娘役には似合わない色も着こなせた引き出しの多い娘役でした。

髪型やアクセサリーが他のトップ娘役よりシンプルに感じる時もありましたが、それこそが、飾り過ぎず何よりも役に忠実に……といった彼女の考え方だったように感じます。

形容詞は「男前」だけじゃない。蒼乃夕妃独自の可愛らしさを持つ、one and onlyな可愛い娘役さんでした。

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