月組トップスター時代
2010年『紫子』紫子/佐伯碧生 *トップお披露目
2010年『THE SCARLET PIMPERNEL』パーシー・ブレイクニー *本公演トップお披露目
2010年『ジプシー男爵』シュテルク・バリンカイ
2010年『STUDIO 54』ホーリー・アシュレイ
2011年『バラの国の王子』野獣
2011年『アルジェの男』ジュリアン・クレール
2011年『我が愛は山の彼方に』朴秀民
2012年『エドワード8世-王冠を賭けた恋-』デイヴィッド・ウィンザー
きりやん……霧矢大夢さんの舞台を観て私がいつも真っ先に感じること。「気持ちいい!」。踊り出し、歌い出し、台詞の第一声すべてが、ビシッと決まっている。ブレない。そして観終わった後、あらためて思うのです。「あぁ~気持ちよかった~」と。
宝塚歌劇団に首席で入団。
真矢みきさん、真琴つばささんといった、自分のカラーを強く打ち出す存在感のあるトップスターの元で下級生時代を伸び伸びと過ごし、新人公演主役を果たします。
わずか研3の『ハウ・トゥー・サクシード』新人公演(第1部)で、大勢の上級生を抑え、初主役に大抜擢。
そして月組組替え後の、伝説の新公『ノバ・ボサ・ノバ』。生き生きと飛び回り跳ね回り、力強いシナーマンを聴かせ、関西弁でのアドリブから閉幕後の主演の挨拶に至るまで、新人とは思えぬ堂々とした技量、姿が、語り草となりました。
『SLAPSTICK』でバウホール公演の単独主演を果たします。
やがて、『ベルサイユのばら』のオスカル、『エリザベート』のルキーニ、フランツ、『あかねさす紫の花』の中大兄皇子、『ME AND MY GIRL』のジョン卿、博多座公演では主役のビルと、宝塚歌劇の代表作を演じる機会にも恵まれ、好評を得ました。
「月組公演における演技」を評価され、2009年「平成21年度第64回文化庁芸術祭」において新人賞を受賞。
そして、中日劇場公演『紫子』『Heat on Beat!』で、月組トップスターに就任しました。
“基礎がしっかりしている”“三拍子(歌、踊り、芝居)揃っている” “品格がある”“華がある”“センスがある”……。舞台人として当たり前のように思われるけれど、とても難しいこうしたことをすべて兼ね備えているスターでした。
「動の役か静の役かどちらがいい?」と聞かれても「どちらも」。「コスチュームプレイか現代物かどっち?」と聞かれても「どちらも」。演出家らスタッフも、色々な冒険ができ、またしたくなったことでしょう。
溌剌として爽やかな『ジプシー男爵』のシュテルク・バリンカイ。清らかで優しい『バラの国の王子』の野獣。野心に溢れ影のある男『アルジェの男』のジュリアン・クレール。