液状化被害も地震保険の支払い対象になる
東日本大震災をきっかけに、地震による液状化被害の認定基準が追加になった
地震保険は、地震・噴火、またはこれらによる津波で生じた建物や家財の被害について、保険金が支払われます。地震によって地盤が液状化し、住宅等に被害が発生することもありますが、こちらはもともと、地震保険金の支払い対象となっています。液状化被害においても、これまでは建物の主要構造部に着目して損害調査が行われていましたが、今震災後の3か月後の2011年6月、液状化被害に関する損害認定基準が追加されました。
たとえば、木造建物(在来軸組工法、枠組壁工法)と鉄骨造建物(共同住宅を除く)については、液状化で住宅が沈下した場合に、1メートルを超える沈下について全損としていたものを、30センチの沈下で全損と認定するなどです(下表参照)。傾斜と沈下、両方の被害が生じている際には、いずれか高い方の認定区分が採用されます。
これらの認定基準が追加されたのは、東日本大震災の後ですが、東日本大震災で被った損害も含め、今後の地震被害については追加された損害認定基準が用いられることになります。ただし、あくまでも地震が原因の沈下や傾斜が対象で、地震が原因でない地盤沈下については地震保険金の支払い対象とはなりません(火災保険も地盤沈下による被害は対象外です)。
被害復旧なら、地震保険は加入できる
なお、液状化による被害を被り、ひとたび地震保険金を受け取ると、その後地震保険の契約ができなくなることはありません。住まいに深刻な液状化被害を被ったあとでも、工事等により被害以前の原状に回復していれば、問題なく地震保険の契約をすることができます。
また、今震災では液状化による被害を被っていないけれども、地盤が軟弱で、今後、液状化による被害が予測されている地域についても、現在のところ地震保険の新規加入は可能です。つまり、懸念されている再液状化や、軟弱地盤の地域についても、現状では地震保険に入れない、ということはないのです。
ただし、これは将来、できなくなる可能性もあります。財務省に設けられた「地震再保険特別会計に関する論点整理にかかわるワーキンググループ」では、大規模震災の後の駆け込み加入についての問題が取り上げられており、一定期間は新規加入を認めない措置を講じることも一案であると議論されています。
なお、ひとたび大震災となれば、再液状化が懸念されることから、今震災の被害をそのままに、あるいは最低限の補修だけを行い、地盤改良や補修工事を行わずにいるケースもあるようです。しかしこうした場合、建物の被害はそのままですから、原状回復するまで地震保険の契約をすることはできません。次のページは、液状化被害に対する公的支援について解説します。