メンタルヘルス/心の病気の治療法・セルフケア

自然災害への恐怖感が強すぎるとき

地震、台風など、自然災害に対する、心の備えは重要! とは言え、場合によっては、杞憂という言葉もあるように、不安、恐怖が不合理に近くなってしまう事があります。今回は、地震など自然災害に対する不安、恐怖感が強すぎる時の、対処法を詳しく解説します。

中嶋 泰憲

執筆者:中嶋 泰憲

医師 / メンタルヘルスガイド

過剰な恐怖感は心の不調のサインでもあります

自然災害は確かに怖ろしいもの! でも、その恐怖感が、非合理といえるほど、過剰になってしまった場合、真の問題は、その自然災害の発生リスクでは無く、心の不調ですよ!

昨年3月に起きた大震災は、こんな事が現実に起こり得るのかと、信じ難い規模の自然災害でした。こうした事が実際に起これば、「備えあれば憂い無し」という言葉が、心に強く響いて来ると思います。実際、将来の不安に対して備える事は、とても大事。でも、気をつけたい落とし穴もあります。それは、心配が杞憂のレベルに達してしまったような時です。

もしも、「天から空が落ちてこないか?」と、心配している人がいれば、「もっと他の事を心配したら?」と思ってしまうかも知れません。もっとも、かつて地球を支配していた恐竜たちの滅亡原因は、巨大隕石という説もありますし、確率ゼロとは言えない面はあります。とは言え、やはり、こうした心配をするのは、自分では無く、専門家に任せるべきではないでしょうか。

今回は、地震など自然災害に対する不安、恐怖感が強すぎる時の、対処法を詳しく解説します。

不安、恐怖は心に秘めないで!

不安、恐怖の大きな問題点は、程度の差こそあれ、理性が損なわれやすい事。もしも、その人の思考、行動パターンに非合理な部分が増してしまうと、現実適応力が損なわれ、苦悩は、より大きくなってしまいます。

これを防ぐには、実は、不安、恐怖を口にする事が大事。とは言え、「不安、恐怖を他人に言うなんてゴメンだ」と、いう方もいらっしゃると思います。不安、恐怖は、実は、心に秘めていると、知らず知らずの内、その力が強まり、非合理的な思考、行動パターンを生む傾向がある事は是非、ご留意ください。

また、自分の思考、行動パターンに潜む非合理性は、他人の目からは明らかでも、自分ではなかなか、それに気付き難い傾向があります。他人の言葉をきっかけに、自分に何か問題がある事を悟る、また、物事を、それまでとは違う視点から考えてみる事も出来ます。是非、不安、恐怖は口に出してみましょう。

不安、恐怖は心の不調のサイン

地震、台風、雪崩、雷……。私たちの周りには様々な危険があります。こうした自然現象から身を守り、無用の恐怖を抱かぬ為には、正しい知識は大切!

例えば、雷は科学的には電気現象。野外で雷鳴が聞こえてきた時は、電気の通りやすい金属製の棒を、頭上に掲げるのは危険!といった事は、知っておかねば、ならぬ事。また、こうした知識を持つ事で、自分が、その被害にあうリスクは充分、下がります。それでも、雷が苦手な人は、雷音に思わず、身をすくめてしまうかも。もちろん、それくらいはOK。でも、厚い雲を見ただけで、雷を強く意識するようになっていたら、真の問題は、雷では無く、心の不調です。

実際、不安、恐怖のレベルは、心の状態に大きく左右されます。例えば、大事な物を落として、気持ちが動揺しているような時と、ご馳走を前にした時とでは、同じ自然災害の映像、例えば、雪崩の映像を見ても、生じる不安のレベルは異なるでしょう。まずは、充分な睡眠、栄養バランスの取れた食事で、心身のコンディションを整え、個人個人にあったストレス発散法で、心の不調に対処して行きましょう。

不安、恐怖が強い時は、ライフスタイルをチェックしてみて!

自然災害に限らず、何かに対する不安、恐怖が強まると、私たちは、それを和らげる為、何かをしたくなるもの。ここにも落とし穴があります。いったん、何かで、気持ちが楽になると、以後、不安、恐怖が強まるたびに、同じ事をしがち。

もしも、それが、飲酒、衝動買い、ギャンブルといったものだったなら? これらで、確かに、気分は良くなる、場合によっては、スカッと、高揚感を味わうかも。ただ、その効果は一時的。以後、不安、恐怖が強まるたびに、こうしたモノに向かっていると、依存症のレベルにまで、のめりこんでしまう可能性もあります。

不安、恐怖を和らげる手段は、たとえ、それに頼りっきりになったとしても、日常生活に支障が出難いもの、例えば、「私なら有酸素運動で気持ち良く汗を流します」といったように、ご自分に合うものを確立させたいものです。

恐怖症にも、ご用心!

以上のような対処法を試みてみても、自然災害に対する不安、恐怖が一向に和らがない場合、例えば、地震が心配で、日常の事が全然、手に付かないような場合には、恐怖症の可能性も出てきます。

もしも、これほどまで、不安、恐怖が強まってしまう場合には、通常、ご本人の生物学的、社会環境的、心理的要因がネガティブに複合作用しています。恐怖症は、うつ病、アルコール依存症などを伴いやすく、精神科(神経科)での早期治療が望ましい事はご留意ください。

最後に、自然災害は確かに恐ろしいものですが、確率的な知識は大切! 実は、階段、風呂場といった家庭内での事故が、自然災害より、ずっと頻度が高い事は、あまり意識されていない方が多いのではないでしょうか? また、自然災害のように、自分で対処できる部分が限られている事に関しては、ある程度、覚悟を決めておく事も、心を楽にするコツだと思います。もしも、その時、パニックになるかどうかは、神のみぞ知るでしょうが、いざ、起きてしまったら、「自分らしく立派に行動するんだ!」と、覚悟を決めておくのも良いのでは、と思います。
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