注目されるヌルヌル成分や色素成分
塩漬けワカメ、干しワカメなど年中で出回りますが、生ワカメは春の味。茹でると緑色になります。
アルギン酸は、ナトリウムを体外に排出する働きをすることで、血圧の上昇を抑えることに役立ちます。また血液中のコレステロールの上昇を抑える働きや、腸内細菌のバランスを整える、放射性ストロンチウムや重金属のカドミウム等有害物質を体外に排泄する働きなどもあると考えられています。
アルギン酸のストロンチウム排出作用については、「放射性物質に正しい知識を! 放射性ヨードに海草は有効?」をごらんください。
フコイダンは、海藻の表面が傷ついた時の修復、乾燥やまた傷から細菌等が入るのを保護する働きをしているのではないかと考えられています。フコイダンには血栓予防作用や、コレステロール低下作用、抗ウイルス作用、免疫細胞の活性を高め、がん細胞を死滅させる等して抗がん作用などがあるのではないかと注目されています。
一方、不溶性食物繊維は、腸の中で水を含んでふくらみ、便を柔らかくして量を増やし、腸の壁を刺激して排便を促します。こうして便秘を防ぐことで、免疫細胞が集まっている腸内環境を整える上で役立ちます。
さらにもう一つ注目されている成分は、色素成分。海藻の中でも昆布やワカメやヒジキなど褐藻類には、カロテノイドの一種フコキサンチンが含まれています。フコキサンチンには、抗肥満作用、生体内抗酸化作用、抗糖尿病作用、抗腫瘍作用、抗炎症作用などがあると考えられています。
ミネラルや良質のタンパク質、脂質も含む
海水にはミネラルが多く含まれているため、海藻には陸上の植物より多くミネラルが含まれています。ヨウ素もその一つです。海藻類を食べたり、だしとして使うという食生活が長い日本人は、海外の内陸地域に住む人と比べるとヨウ素不足になりにくいと言われています。ヨウ素は、主に甲状腺ホルモンを作る材料。甲状腺ホルモンは子供の成長を促進したり、新陳代謝を活発にする働きもあります。ワカメには100g当たり7,790μgと、ヨウ素が多く含まれています。
他にも、ビタミンB群やビタミンC、量は少ないですが良質のタンパク質なども含まれています。またワカメやコンブ等の褐藻類には、量は多くありませんが、体内で中性脂肪やコレステロールを減少させる作用があるとされるEPAやDHAと同様のω-3系脂肪酸であるオクタデカテトラエン酸が含まれていることが明らかになりました。(参考/中央水産研究所)
ワカメに有効成分が含まれているとはいえ、動物実験や細胞試験レベルなのでヒトレベルでの有効性はまだまだこれからという状況です。薬ではありませんので、他の食品と合わせてバランスのとれた食べ方をしてください。ヨウ素についても、過剰症がみられることがありますから、偏った食べ方をしないようにしましょう。