食器棚の防災対策5つとは?時短にもつながるのでおすすめ!
食器棚の防災対策
東日本大震災の折、直接の被災がほとんどなかった東京でも、食器棚から食器が落ちて散乱し、その後始末に多くの時間がかかった、という家庭が数多くありました。食器が落ちる音と風景にはインパクトがあるため、これだけで必要以上のパニックに陥ってしまうこともあります。また、食器が床に散乱すると避難する際にもとても危険です。
食器の収納方法を見直すことは、防災対策のひとつになるだけでなく、実際に防災を考えて食器棚の使い方を変えてみると、実は普段の食器の出し入れも楽になり、結果的に家事が楽に、早くできるようになるのです。今回は、普段の時短にもつながる「食器収納の防災対策」の鉄則をご紹介します。
1.重いものは腰より上の位置に収納しない
土鍋や割れやすいグラス類、重い食器類を高い場所に収納している人はいませんか。重いものは下、軽くて割れないものが上、が防災収納の鉄則です
収納の防災対策で一番大切なことは
-
重くて割れるものは腰より下
- 軽くて割れないものは腰より上の位置に収納
シンプルですが、大切なことです。食器棚の多くは、腰より上に陶器やグラスが収納されていることが多いのですが、ガラス扉がついている腰から上の戸棚の部分には、なるべく軽く、破損の危険がないものを収納するようにしましょう。
食器入れを想定されている場所でも、腰より高い場所であれば重い物、割れる物は入れない。軽くて壊れにくいものを中心に
写真はガイド宅の食器棚。腰より上のガラス扉の棚の部分には、一番下の棚にはケースに収納されたキッチンツール、中段にはかごに収納された乾物類や調味料、上段はビニール袋や油処理用のパッド、スポンジなどの軽い備品類が収納されています。いずれも、扉が開いて落ちてきても大きな音を立てたり、割れて散乱する危険性のないものが中心です。食器類は腰から下の位置に収納されています。これは鉄則3のところで詳しく説明します。
2.家具は固定して上部に重いものを置かない
防災対策前のガイドの食器棚。高いところまで割れ物がぎっしり、棚の上にも荷物がいっぱい。耐震対策なし。これでは揺れが来たらひとたまりもありません
倒れやすい家具は固定しておくのは、もはや常識。つっぱり型の固定金具や、家具の下に敷いて揺れを吸収するパッドなどを活用しましょう。また、ロック機能のない扉には、後付の開閉防止ロックを取り付けることをオススメ。ロック方法が面倒なものはかけ忘れも多くなってしまうので、なるべく簡単に開閉ができるものを選んで。
せっかく家具を固定しても、その上に物を置いては意味がありません。食器棚の上だけでなく、冷蔵庫の上やたんすの上など、高い場所の空間に物を載せないように気をつけましょう。
3.食器には棚より引き出しが向いています
震災を機に、ガイド宅の食器棚は引き出し式に。奥まで見渡せるし、作業域としても棚より使いやすい
引き出し型の食器棚は奥まで見渡しやすいため、近年人気です。写真はガイド宅の食器棚。以前は、腰より上のガラス扉の部分に食器を収納し、腰下の引き出しにはキッチンツールや、食品、備品を収納していましたが、震災を機に上下を入れ替えました。結果、日々の食器の出し入れが驚くほど楽に! 特にガイド宅はビルトインの食器洗い機を使っているため、ここからの出し入れと、引き出しへの食器の収納の動線が短縮して、とても効率がよくなりました。同様のレイアウトの食器棚を使っている方は、引き出し部分を食器用として活用してみましょう。
引き出し型の収納にしたら、なんと、食器洗い機との動線が最短に。棚よりも格段に出し入れがしやすくなりました
引き出し型であれば、もし万が一破損があったとしても、割れた食器は引き出しの中に収まり散乱しません。また、引き出し構造の特性でほとんどが腰から下の位置に食器が収まるため、高い場所からの落下の心配もありません。引き出しの中には、食器がすべりにくい素材を敷いておきましょう。
4.ファイルボックスなどを活用して立てて収納
お皿は立てて、書類整理用のファイルに。横揺れで隣の食器を割ることもなく、万が一割れても破片が飛び散らないという利点もあります
平皿類は、重ねて収納すると滑りやすく、小さな揺れでも横滑りして横にある食器を破損してしまう危険性があります。写真のように、お皿は重ねずに文具として使われているファイルボックスや、ブックスタンドに立てて収納しましょう。このようにボックスの中に収納しておくと、隣の食器を破損する危険も少なくなり、万が一割れたときもボックスの中に破片が収まってくれるので、後始末が楽です。
引き出し型の食器棚がなく、扉タイプのものをご使用の方も、このようにボックスファイルを使用すると、低い位置にある棚の食器も取り出しやすくなります。また、重なっていることで取り出しにくくなっている食器も、簡単に出し入れができるようになり、時短にもつながります。
小さなお皿類は、100円ショップなどに売っている収納かごなどを有効活用してみて。
5.「ハレ」と「ケ」を仕分けておく
ハレ用で登場機会の少ない食器類は仕分けして収納。写真のようにカップボードに飾るとまとめて割れる可能性もあるので、どうしても壊したくないものは、きちんと梱包して納戸などにしまっておきましょう
以前、震災時に大きな被害がなかった場所でも、ガイドの周辺で多かったのが「食器棚の中で壊れたのは高かった食器ばかりで、普通のお皿類だけが残った。片付けていて、とても悲しくなった」というようなエピソードでした。大切な食器が割れてしまうのは仕方がないことですが、「普通の食器だけ残った」対比が見えてしまうことで、やるせなさが増してしまうのです。災害の大きさは想定できません。小さな被害しかなかった場合でも、こうした精神的なダメージが少ないよう、普段から食器の仕分けをしておきましょう。
写真はガイド宅の「ハレの日カップボード」。腰から下の位置のみに収納していますが、ここに入っているものは「大切だけれど、あってもなくてもよい贅沢品」。災害で破損してしまっても、生きるためには必要がないものとして、割り切ることができるものたちです。
このように、普段からハレの食器と普段使いの食器を仕分けて管理する習慣をつけておくと、破損したときもあきらめがつきやすく、同時に普段の暮らしの中でも食器類の出し入れがしやすくなります。どうしても残したい想い出の品などは、きちんと梱包して納戸などにしまっておくことも大事。
災害はないにこしたことはありませんが、万が一の時に備えて準備をしておくことはとても大切です。特に食器類は、あまり大きくない揺れのときであっても
・ 落ちて割れる音と風景でパニックになりがち
・ 大事なものだけ壊れた、という心理的ダメージを受けがち
なので、食器棚の固定だけでなく、こうした対策も考えた食器収納に日頃から取り組んでみてはどうでしょうか。普段の家事もとても楽になりますよ。
【関連記事】
- 防災グッズの必需品は?地震対策の避難グッズ全リスト
- 地震に備えた寝室とは?寝室危険度チェック
- 女性の一人暮らし・賃貸住宅でもできる地震対策
- オフィスの地震対策…転倒防止や備蓄品準備のリスト
- 赤ちゃんがいる家庭の地震・防災対策