不動産売買の法律・制度/不動産に欠かせない「道路」の知識

43条ただし書きが適用される敷地を買うとき

建築基準法に定められた接道義務を満たさない敷地でも、43条ただし書きの規定によって建築確認を受けられる場合があります。しかし、そのためには一定の手続きなどが必要で、必ず受けられるという保証はありません。このような敷地はそれなりに安く売られることが多いものの、特性をよく理解したうえで慎重に検討をすることが大切です。(2017年改訂版、初出:2012年2月)

執筆者:平野 雅之


都市計画区域内(および準都市計画区域内)において、建築物の敷地は建築基準法第42条で定義された「道路」に2m以上が接していなければなりません。

これが建築基準法第43条第1項の、いわゆる「接道義務」ですが、この要件を満たさない敷地のとき、杓子定規に判断して一律に建築が否定されるわけではなく、一定の救済措置も設けられています。このようなときに用いられるのが「第43条ただし書き」の規定です。

今回は「ただし書き」適用についての概略と、このような敷地を購入するときのポイントについてみていくことにしましょう。


接道義務を満たさない敷地とは?

建築敷地の接道義務は、交通や安全の確保などで支障が生じないことを目的としたもので、火災のときには消防車の進入や消火活動の妨げにならないことも考慮されています。

そのため、建築物が密集して建てられることの少ない「都市計画区域外」では適用されません。農地法など他の法律による規制は別として、都市計画区域外の山村などでは畑の真ん中に住宅が建っていることもあるでしょう。

このような通路にのみ接する敷地では建築確認を受けられないことも

このような通路にのみ接する敷地では建築確認を受けられないことも

しかし、都市部では災害時の安全などを優先しなければならないため、敷地の利用がまったく自由というわけにはいかず、一定の道路基準により建築が制限されることもやむを得ません。

なお、敷地の接道義務について詳しくは ≪道路の種類と接道義務を正しく理解しよう≫ をご参照ください。

都市計画区域内で「接道義務を満たさない敷地」として、主に次のような場合が考えられます。

□ 敷地が道路に接する部分の幅が2m未満である
□ 敷地の接する部分が道路ではなく遊歩道である
□ 見た目は道路そのものだが、建築基準法による定義に当てはまらない
□ 敷地の接する部分が狭い通路である
□ 敷地と道路との間に暗渠(あんきょ)となった水路がある
□ 敷地の周りがすべて他の敷地で囲まれている

このような場合に接道義務を緩和し、一定の要件に基づいて建築を認めるのが、建築基準法第43条ただし書きの規定です。

接道義務を満たさない土地の不動産広告において、43条ただし書きが適用できない土地の場合には「再建築不可」「再建築はできません」などと書かれているはずですが、43条ただし書きが適用される土地の場合にその旨が記載されているかどうかはケースバイケースです。

なお、敷地と道路の間に水路がある場合には、このただし書きとは別に「水路占有許可」などにより建築が認められることが多いでしょう。詳しくは ≪水路と遊歩道≫ をご参照ください。


43条ただし書きの内容は?

建築敷地の接道義務を定めた建築基準法第43条では、「ただし、その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについては、この限りでない」としており、これがいわゆる「ただし書き規定」です。

接道義務の規定が交通上、安全上、防火上、衛生上の観点から定められたものですから、これらに支障がないものについては接道義務を満たしていなくても建築を認めようとするものです。

また、ここでいう「国土交通省令で定める基準」とは、建築基準法施行規則第10条の2の2に規定され、次のいずれかに該当することが要件となっています。

その敷地の周囲に公園、緑地、広場等広い空地を有すること
その敷地が農道その他これに類する公共の用に供する道(幅員4m以上のものに限る)に2m以上接すること
その敷地が、その建築物の用途、規模、位置及び構造に応じ、避難及び通行の安全等の目的を達するために十分な幅員を有する通路であって、道路に通ずるものに有効に接すること

これをもとに、それぞれの自治体(特定行政庁)で判断基準や提案基準、一括同意基準、包括同意基準、包括的許可基準などを設けて、43条ただし書き適用の可否を判断しています。


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