キラータイトル以外が大事
年末商戦だけでなく、春、夏、秋と、穴をあけずに、ユーザーの注目を切らさず、丁寧にタイトルを訴求していく必要があります。(イラスト 橋本モチチ)
任天堂だけでなくサードパーティーの出すタイトルもその規模感に見合った数字で着実に伸ばしていければ、商売になると感じてさらに多くのタイトルが集まり、多様なソフトでもって年間のタイトル数を膨らまして賑やかになっていく、そういう循環に入っていきます。これができないとどういうことになるのか、日本市場におけるWiiのような、任天堂の強力なタイトルが出たときには市場がわっと盛り上がるんですが、それらが点として存在して一向に線にならない、そういう環境を引き起こします。
2011年の年末、任天堂は3DSの拡販に全力を注いだと言っていいでしょう。2012年はそうはいきません。年末に向けて3DSに有力タイトルを用意していないとは言いませんが、多くのリソースを新ハードのWiiUに傾けなくてはいけないことが想定されます。さらに先の話をするなら2013年はWiiUと3DSを並行して伸ばしていく必要に迫られるはずです。その時、任天堂がいかに強力なコンテンツを自社で持っているとしても、単独ではどちらかに必ず穴があきます。ですから、3DSにおけるサードパーティーの市場構築は2012年の最重要課題なのです。
決算の発表に伴って、有料追加コンテンツのオンライン配信といった任天堂が今まで行なってこなかったビジネスモデルについての言及もありました。しかしそういった新しい試みも、3DSというプラットフォームが成長していくという前提があってのことです。
血を流しながらも足元を固めた2011年、この固めた足場を使って大きく跳ねることができるかは、大きな花火よりも、地道な展開にかかっていそうです。
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