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メジャー勝利数に見る名手の系譜と新世代の台頭(3ページ目)

2012年は、偉大なプロゴルファー、ベン・ホーガン、サム・スニード、バイロン・ネルソンの生誕100年にあたります。メジャー勝利数を手がかりに、プロゴルフの歴史を彩った名手たちを紹介しながら、近年著しい世代交代の波を代表する新しいプレーヤーを紹介します。

児山 和弘

執筆者:児山 和弘

ゴルフガイド


新世代のスターが台頭!

セイバートゥース

はじめてメジャーに勝利した中尺パター。オデッセイ「セイバートゥース」

新しいゴルフ界の盟主の座をうかがうホープたちの中で、もっとも将来性を感じるのは何と言ってもローリー・マキロイでしょう。2011年の全米オープンでは、同年のマスターズ最終日、トップでスタートしたものの大きく崩れた影響を感じさせず、2位に8打差をつける圧倒的な強さで優勝しました。身体はそれほど大きくないものの、小気味よいスピード感のあるスイングで飛距離も十分。まだ22歳と若くスター性も十分です。

現在、世界最強のゴルファーと言えば、ルーク・ドナルドでしょう。
2011年は、史上初めてアメリカPGAとヨーロッパの2大ツアーで同時に賞金王になるという離れ業を成し遂げました。飛距離が出る方ではないですが、アイアンショットの正確性が高く、なんといっても大変なパッティングの名手です。11年は、449ホール3パット無しという記録も作っています。
メジャー大会での勝利はまだないですが、脂が乗り切っていることもありここ数年が楽しみな選手です。

その他にも、2010年の全米プロで優勝したマーティン・カイマーや、すでに何度もメジャーで優勝争いし、アメリカの若手で実力No.1と目されているダスティン・ジョンソン、11年賞金ランキング2位のウェブ・シンプソン、11年の全米プロで優勝し、史上初めて中尺パターでメジャー大会を制したキーガン・ブラッドリーらも注目候補です。
キーガン・ブラッドリーは、グランドスラムを果たした殿堂入り女子プロゴルファー、パット・ブラッドリーの甥にあたります。パット・ブラッドリーは、全盛期の岡本綾子プロと何度も優勝争いしているので、日本人ファンにも馴染みのある選手です。

彼等は例外なく、体格も大きく身体的な能力に優れた選手です。今後はこうしたアスリート然とした選手が主流になるのでしょう。

彼ら、新しい世代のプロゴルファーの大きな特徴はやはり飛距離が出ること。
300ヤードは当たり前で、ここという時には350ヤードを超える様なドライバーショットを放つ選手も少なくありません。200ヤード以内ではショートアイアンを持つことも少なくなく、それでいて正確性もあります。
4月に行われるマスターズは、毎年オーガスタナショナルで行われますが、以前に比べると選手のティーショットの位置がはるか先にいっているのがわかります。

もう一点あげるとすれば、テクノロジーを取り入れることに積極的であることです。
どちらかというとクラブを変えたがらない以前のプロゴルファーに比べ、中尺パターやハイブリッドクラブ(ユーティリティ)など、新しい道具も積極的に取り入れ、毎年クラブを変える選手も少なくなりありません。

また、ゴルフは職人的な側面が強く、技術に関して語られることが多いのですが、現代のプロゴルファーは積極的なフィジカルトレーニングやメンタルトレーニング、食事面も管理する選手が増えています。

景気低迷などのあおりでスポンサー現象が指摘されている世界のゴルフ界ですが、こと試合となると、ベテラン勢の充実と魅力的な新鋭がつぎつぎ登場し、大変面白くなっています。
海外ゴルフに馴染みのないゴルフファンもまずはメジャー大会の観戦からおすすめしたいと思います。


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