介護保険以外にかかる費用は、どのくらい?
■必要と思われる介護費用これまでは、公的介護保険制度を見てきましたが、実際に介護を行う場合は、公的介護保険が適用されない、さまざまな介護サービスを利用することになります。例えば、介護タクシーを例にとると、介護保険が適用になるのは、病院や診療所への通院や公的手続きのための役所など、行き先が限定されています。自由に行き先を指定する場合、介護保険は適用されません。その他、家事代行サービス、在宅配食サービスや出張理美容サービスなどを利用すると、介護にかかる費用は膨らみます。介護保険以外にかかる費用はどのくらいなのでしょうか?
平成21年度「生命保険に関する全国実態調査」(生命保険文化センター)に、介護に必要と考える資金額についての、調査結果があります。
●介護の最初に必要と思われる金額は?
介護に必要と考える資金のうち、初期費用は、100万円未満と回答した人が約2割であるのに対し、500万円以上と回答した人も2割に達しています。平均額は307.7万円とのこと。初期費用として、介護リフォームや介護用具の購入費用が考えられますが、かなりの高額になるという認識のようです。
●毎月かかる介護費用は?
次に介護に必要と考える資金のうち、毎月かかる介護費用は、10万円未満と回答した人は、わずか1割に過ぎず、30万円以上と回答した人は35%に達します。平均額は18万円で毎月の負担額としても、高額になると認識されているようです。
●初期費用と毎月の護費用を合わせた、必要介護費用の総額は?
介護に必要と考える資金の初期費用と月々の費用の合計額を合わせた、必要介護費用の総額は、3,523万円に達します。“介護にかかる費用は3,500万円以上!”と考えると、介護の「お金」に対する不安は、一層、大きくなるでしょう。
■実際にかかる介護費用
●一時的にかかった費用の合計
同調査では、介護経験がある人に対して、実際にかかった費用についてのアンケートも同時に行っています。介護費用のうち、一時的にかかった費用は、100万円未満と回答した人は55%で、掛かった費用はないと回答した人も2割弱、平均額は、86.2万円という結果でした。必要と考える初期費用の平均307.7万円と、大きな差があります。
●毎月かかった介護費用
毎月かかった介護費用として、10万円未満と回答した人は約56%で、平均額は7.3万円となっています。必要と考える月々の費用の平均18万円と比較して、倍以上の差があります。
■必要と考える費用と、実際にかかる費用に大きな差がある!
必要と考える介護費用と実際にかった介護費用は、初期費用、毎月かかる費用ともに大きな差があります。初期費用を考えると、例えば、介護リフォームは、介護保険や市区町村の補助金などが使えたり、ベッドや車椅子などの介護用品についても、購入するのではなく、介護用品のレンタル(福祉用具貸与サービス)をしたりして、費用を抑えることができます。
公的介護制度の給付内容や、実際に介護にかかる費用の知識や情報が少ないため、イメージで「介護はお金がかかる!」と思ってしまい、必要以上に介護のお金のことで不安に感じてしまう、といえるのではないでしょうか? 介護のお金に関する不安を解消するためには、まずは、公的介護保険制度や介護のお金について正しく理解することが何よりも大切だと言えるでしょう。
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