ムーライダーズとの出会い
ガイド:黒田さんはまだお若いと思いますが、リスナーとして70年代から活動してきたムーンライダーズとの接点はあったのでしょうか?
黒田:
少し歳の離れた姉がいるのですが、その姉がムーンライダーズのファンで、家でもよく聴いていたので、自然と耳に入ってくるような環境はありました。加えて、個人的に決定打になったのは、95年にリリースされた岡田さんのサイドプロジェクト、LIFE GOES ONのミニアルバム『GOOD PAPA, BAD PAPA』でした。あのメロディセンスとサウンドにやられて、そこからはどんどんとはまっていきましたね。まさかそんな人と一緒にアルバムを作ることになるなんて、ただの中学生だった当時は当然想像すらしていなかったわけで…改めて考えると、恐ろしいことをやってしまっているなあと(笑)。
初音ミクとの出会い?
ガイド:では、お二人に……初音ミクとの出会いは? 今回、こういう形で初音ミク作品をだしてみようと考えたわけなどがあれば、教えてください。
黒田:
はっきり「いつ出会った」というのはわからないのですが、日頃音楽ソフトの情報などチェックしている中、自然と初音ミク含め、ボーカロイドの情報というのも入ってきていましたね。なんだかまた面白いものが出てきたなと思いつつも、しばらくは傍観者という感じで、周りの友人がボカロを使ってちょこちょこと面白いものを作っているのを見て、刺激を受けたりしていました。で、そうこうしている間に、だんだんとボーカロイド界隈がものすごく盛り上がってきたじゃないですか。そのあたりで、自分も試しに何か作ってみようかな……と思い始めて。ただ、とりあえずソフトは買ってはみたものの、仕事や何やでなかなか使うタイミングがなく、かなり長いこと塩漬け状態になってしまっていたんで すよね。そんなところで岡田さんから今回の企画のお話を頂いて、ちょうどいい機会だしじゃあやってみよう、ということで、今回のこのアルバムに結びつきました。
岡田:
もともとボコーダーをはじめ変調ボイスものは大好きなので、デジテック社のボーカリスト(ムーンライダーズのアルバム『AOR』では鈴木慶一メインボーカルをもとに、このボーカリストでほとんどのコーラス、ハーモーニーをつけている)、メロダイン、オートチューン、ハーモニーエンジンなどのテクノロジーへのロマンスは、半端ないっす(笑)。そうこうしているうちに、ある日YouTubeでメイコが歌っている「ニットキャップマン」を聴いて、アッコちゃんのパートまで上手く表現できてるし、オモシロイじゃん、となったわけ。 今回ボーカロイドでライダーズをカバーするにあたって初音ミクをフィーチャーしたのは、ボカロならミクだろう、といったベタな理由からです。