100年店ランチ/東京の100年店ランチ

あさだ(そば/浅草橋/創業1854年)(2ページ目)

老舗の人形店や佃煮店などが軒を並べる浅草橋で、江戸の伝統技術と心意気を受け継ぐ十割蕎麦。今回は現在八代目が切り盛りする蕎麦店「あさだ」をご案内します。

菅野 夕霧

執筆者:菅野 夕霧

100年店ランチガイド

昼限定の御膳は、刺身が1050円、天ぷらが1260円

小さめのせいろか温かいかけそばを選ぶことができる刺身御膳

小さめのせいろか温かいかけそばを選ぶことができる刺身御膳

店へ入ると、1階にテーブル席、右手には2階へ続く階段があります。ちなみに2階はテーブルに加えてお座敷が。店内はきれいで150年を超える圧倒的な老舗感はあまり感じませんが、落ち着いた大人の空間といったイメージでしょうか。この日は1階の江戸通りに向き合うかたちになる窓際の席に通されました。

味のある筆で表記された和紙のメニュー表を眺めると、蕎麦以外のおつまみの豊富さに釣られ、思わずお酒を頼みそうになりますが、午後の仕事を考えてここはグっと我慢。同店には通常メニューに加え、お昼限定の「刺身御膳」と「天ぷら御膳」、刺身と天ぷら両方付いた「あさだ御膳」(2100円)があります。寒い季節は温かい天ぷらが食べたくなりますが、生魚好きな私は刺身御膳を頼むことに。

刺身御膳は3種類の刺身に小鉢、漬物、少なめの蕎麦にごはんが付きます。お腹には十分なボリュームです。ランチタイムに少しずついろいろなものが楽しめると、少し優雅な気持ちになります。各テーブルには天かすが入った小さな壺も。温かい蕎麦を食べる際には、アクセントとしていいですね。

新蕎麦を1年分仕入れて真空保存を

蕎麦店の定番、鴨せいろは1470円

蕎麦店の定番、鴨せいろは1470円

同店の蕎麦はつなぎをいっさい使用しない十割蕎麦。新蕎麦の時期に1年分の蕎麦麦を仕入れて、真空保存して使用しています。全行程を手作業で行う歯ごたえやコシのある「せいろ」は680円、「大もりせいろ」は890円。老舗店の中では量はしっかりある方です。加えて、せいろより少なめの「仕上げせいろ」(500円)というメニューも。“おかわり”用なのか、“お酒の後”用なのかは人それぞれですが、メニュー全体から酒飲みの気持ちをわかってくれている、そんな感じを受けますね。

“蕎麦前”も豊富な同店。板わさにはシイタケも

“蕎麦前”も豊富な同店。板わさにはシイタケも

土曜日に知人と訪れた際には、蕎麦店定番のおつまみ、板わさや焼鳥でお酒を飲んだ後、私が「桜海老と生海苔のかき揚げ」単品と「せいろ」を、知人が「鴨せいろ」をオーダーし、念願の蕎麦店での“昼飲み”を堪能。一品一品そつなく手が加えられていて、楽しいランチタイムに……。

同店のメニュー表は、まず歴史について書かれたページが現れ、その一行目に「……初代浅田甚右衛門がこの地に蕎麦店を……」というくだりがあります。

私もたくさんの“100年店”を食べ歩いていますが、創業地と現在地が違うケース、創業時とは提供する料理や業態自体が違うケースが多々あります。震災や戦災を始め、長い歴史の中での帰結でしょう。そういった意味でも、創業の地で創業時の料理を今なお続ける貴重な店ですね。

8代目はネットスクールで蕎麦打ち講座の講師も行っている

八代目はネットスクールで蕎麦打ち講座も行っている

ペリーが再来日、日米和親条約が結ばれた年に創業した蕎麦店で、ランチはいかがでしょう?



■あさだ
住所:東京都台東区浅草橋2-29-11
TEL:03-3851-5412
営業時間:11:30~14:30、17:30~22:00(土曜日は21:00まで)
定休日:日・祝
地図:Yahoo! 地図情報
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※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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