損害保険/損害保険関連情報

「ミニ保険」の火災保険とは?(2ページ目)

火災保険といえば、損害保険会社が取り扱う商品のほか、共済団体の取り扱う火災共済が一般的ですが、それ以外にも選択肢はあります。少額短期保険業者が取り扱ういわゆる「ミニ保険」の火災保険(家財保険)がそれ。損害保険会社の火災保険とどう異なるのでしょうか?その特徴は?以下、解説します。

清水 香

執筆者:清水 香

火災保険の選び方ガイド

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補償項目は損保商品とほぼ同様

マンション

契約前に、補償項目や付帯内容をしっかりチェック

損害保険系の少額短期保険の場合、前述のように1000万円が補償の上限であり、対象は家財に限定されています。ざっくりと結論を大づかみしますと、補償項目については従来の火災保険とほぼ同様、と考えていいでしょう。中心は賃貸入居者向けで、借家人賠償責任保険や、個人賠償責任保険のセットされているものが多くあります。

もちろん、取り扱い各社により補償内容の詳細は異なり、一律ではありませんが、火災、落雷、破裂・爆発については損害の100%を補償、さらに、雪やひょうなどによる被害や水害といった自然災害、水濡れや盗難、持ち出し家財についても、おおむね補償を受けることができます。支払われる損害保険金に上乗せされる費用保険なども、地震火災費用や残存物取片付け費用、失火見舞費用など、損保商品と同様の費用保険が多いようです。

地震保険の付帯は可能?

ただし、補償の内容すなわち、各項目の保険金支払い限度額や損害に対する補償割合などについては、各商品により異なっています。たとえば、水害に関しては保険金額の7割までとか、盗難については家財保険金額の10%までが上限、といった具合です。損害保険会社の取り扱う火災保険は、補償内容についてカスタマイズできるものが主流になってきていますから、ここは異なる点です。また、火災保険とはいえ、少額短期保険に地震保険を付帯することはできません。

一方で、地震被害を補償するミニ保険も。「リスタ(SBI少額短期保険)」は、 住宅の地震被害を補償しますが、地震保険と異なり単独契約が可能です。保険金額は世帯人数に応じて定められた範囲で選択し、4人世帯なら住宅全壊時にそれぞれ700万円・600万円・500万円の保険金を受け取れるいずれかの契約タイプから選択するといった形です。保険料は都道府県、さらに木造・非木造により異なりますが、同額の保険金額で比較すると、地震保険料よりも高い水準。

こうした特性から、この保険商品の位置づけは、住宅ローン残債が多い人のための「地震保険の補完策」と考えるのが基本でしょう。ただし、地震保険料控除は使えません。

契約先破たん時の契約者保護は要チェック

もう1点、損害保険会社の契約と異なるのが、契約先の保険会社が破たんした際の契約者保護についてです。損害保険会社の場合には、万が一、契約先の保険会社が破たんしたとしても、損害保険契約者保護機構により契約者保護がはかられます。火災保険の場合には、破たん時から3か月間に事故が起きた場合であっても、保険金が削減されることはありません。


【保険会社破たん時の契約者保護は異なる】

●損害保険会社:損害保険契約者保護機構による保護を受ける火災保険の場合、破たん後3か月間に起こった事故に対して受け取る保険金は削減されない。

●少額短期保険業者:一定金額を保証金として供託することを要する(契約は供託金の範囲で保護を受けることになる)。

一方の少額短期保険業者は、損害保険契約者保護機構による契約者保護はありませんが、損害保険会社と同様、保険業法による規制を受けており、一定の消費者保護が図られています。経営破たん時の契約者保護のため、一定金額を保証金として供託しておくことなどが義務付けられているほか、募集規制や商品審査、責任準備金の積み立てなどのルールもあります。

賃貸借契約時に契約を求められる火災保険は、昨今では損害保険会社の商品だけでなく、ミニ保険の火災保険もしばしば勧められています。これまで見てきたように、補償項目は大きくは変わらないものの、保険金の支払われ方や契約者保護など損保商品と異なる点もあります。事故が起きた時の連絡先などもしっかりとチェックして、イザという時に役立つようにしておきましょう。

【関連リンク】
「火災保険金を受け取れないのはどんな時?」

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