ゲームメディアの本当の役割

ゲームメディア編集者の図

ゲームメディアの本当のあり方というのが試されていくのかもしれません。(イラスト 橋本モチチ)

ここまで、まるでメディアがいらなくなるようなお話をしてきましたが、皮肉なことにゲーム専門のメディア以外に関して言えば、まだまだその役割は残されています。

わざわざWebで任天堂の社長によるプレゼンテーションを観るような人は、かなりのゲームファン、あるいは任天堂ファンでしょう。ゲームの売上を伸ばす為には、例えば子供達にゲームを買い与えるお母さんに情報を伝える手段も必要です。任天堂の話で言えば、テレビCMのようなマスメディアや、鉄道広告などにかなりのお金をかけています。毎日のテレビや、都市部の駅や電車の中、あるいは新幹線などで任天堂の広告を目にする人は多いんじゃないでしょうか。

一方で、ゲームメーカーに情報をもらって記事を作り、ゲームの情報を能動的に得ようとするゲームユーザーを相手にしていたゲームメディアの立場は危うくなりつつあります。これまでメーカー発表会などでメディアだけを相手に情報公開をしてもらい、それをユーザーに伝えることで成り立っていた商売は、メーカーが直接ユーザーに発表するようになってしまえば、次第に意味を失っていきます。

少し話が飛びますが、ガイドが先日、友人のIT系記者と話をしていた時、なるほどと思うことを聞きました。彼は、IT関係ということで普段はスマートフォンなどの取材をしているんですが、たまにゲーム業界の発表会に行くこともあるそうです。で、彼からするとゲーム業界の発表会はおかしいというんですね。というのは、ゲーム業界の発表会には記者の質問をする場が設けられないというのです。

確かに、ゲームメーカーの発表会で記者による質問の場というのは、あまりないように思います。それは逆に言えば多くのゲームメディアが発表会の内容をそのまま記事にしていて、疑問点や曖昧な部分に対してのつっこんだ取材が弱いということでもあります。

ゲームメディアの多くは、長らくゲームメーカーから、ゲームの情報と、そして広告をとり、蜜月の関係でメーカーのスピーカーの役割を果たしてきました。ニンテンドーダイレクトの事例はその蜜月の関係が今後長くは持たないかもしれない、そういったことを象徴しているようにも感じます。

もしこういった手法が今後さらに発展し、多くのメーカーがより直接的に、より濃密にユーザーとコミュニケーションし、それが深まっていくのであれば、ゲームメディアはゲームメーカーとの関係性について考えなおす必要性に迫られます。いえ、既に考え直さざるを得ない時期にきているのかもしれません。その時、メディアとしてどういう役割を持って、何を伝えていくのか、問われていくのではないでしょうか。

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