国際結婚はハイリスク
シャウウェッカー:ハーグ条約のことも踏まえて、国際結婚する時の心構えとは、どのようなことだと思われますか?
松野先生:
もともと結婚というリスクのあるものの中で、国際結婚だとリスクが何倍にも大きくなります。
日本でも離婚は大変です。相手が同意しなくて、裁判をしようと思ったら、費用もすごくかかるし時間もかかる……。それが外国でとなったら、弁護士も現地で雇わなければならないし、お金がもっとかかって、さらに大変なことになります。
外国人と結婚する時には、そこまで覚悟してないといけないのですね。そのくらい国際結婚はリスクが高い。
現地の文化や言葉を学ぶ覚悟もなく、外国で知り合った人と意気投合して、盛り上がって結婚して、でも男性が全然働かなくて仕事もないし、1年くらいで嫌になって、逃げて帰ってきてしまったという人が、実はけっこういるんですね。自分も言葉がそんなにしゃべれなくて、手に職もない。まあ、いわばその国の社会に根付く覚悟がないままに、国際結婚してしまったわけです。
それで日本に逃げてきて、「今から日本で離婚したい」と聞かれるのですが、遺棄されたと言えないなら「その国でやってこなければだめですよ」と言っています。国際裁判管轄が日本に認められないからです。
基本的なことですが、国際結婚する時は、やはり相手の国の言語を話すとか、住んでいる場所の言語を少なくとも習得する覚悟がないと……。しかも子供がいたら、親としてそこに根付くということの責任があります。そこまで考えた上で決めてほしいですね。とにかく、軽い気持ちで国際結婚してはいけない。本当に危ないです。
それと、やはり経済力の問題があります。日本の結婚でも同じです。経済力がない女性にとって、結婚はどれほどリスクが大きいか……。
国際結婚ですと、母国を離れた女性が経済力を失う可能性がより高いですよね。日本だったらパートでちょっと働けるのに、言葉ができないとなかなかそうもいきません。そのリスクも考えておいたほうがいいと思います。
シャウウェッカー:
リスクを充分に理解した上で、それにきちんと向き合う心構えが必要だということですね。
先生、今日はどうもありがとうございました。