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敷金トラブルを未然に防ぐ契約時の注意点(2ページ目)

退去するときの大イベント、敷金の返還清算では、トラブルになることもしばしば。それは、入居者と大家さんとの認識の違いから起こります。でも、できればお互いトラブルは避けたいもの。今回は、契約するときの注意点についてまとめました。

加藤 哲哉

執筆者:加藤 哲哉

賃貸・部屋探しガイド


チェックすべきは「具体性」


契約書には「敷金」に関する条項が必ずあります。敷金とはどういう性質のもので、どんな扱いを受けるのかなどが書かれています。
たとえば、以下のようなものです。


(敷金)
第○条  乙は本契約から生じる債務の担保として、頭書に記載する敷金を甲に預け入れるものとする。
2 乙は、本物件を明け渡すまでの間、敷金をもって賃料、共益費、その他の債務と相殺することができない
3 甲は、本物件の明け渡しがあったときは、遅滞なく、敷金の全額を無利息で乙に返還しなければならない。ただし、甲は本物件の明け渡し時に、賃料の滞納、原状回復に要する費用の未払いその他の本契約から生じる乙の債務不履行が存在する場合には、当該債務の額を敷金から差し引くことができる。
4 前項ただし書の場合には、甲は敷金から差し引く債務の額の内訳を乙に明示しなければならない。


これは、国土交通省住宅局が掲げている「賃貸住宅標準契約書」(モデル)から一部抜粋したもの。敷金は、部屋を貸した借主が入居中に万が一家賃を払えなくなったり、何かあったときのために担保として預かっておくよ、という性質であり、退去するときには返金されるものだと記されています。でも、原状回復に関する費用が必要な場合には、ここから清算しますよ、というものなのです。


一般的にはこのような内容のことが敷金については書かれており、退去するときの敷金返還についての記載もあります。でも、これだけではトラブルを未然に防げるとは言えません。なぜなら、トラブルになるのは退去した部屋を修繕するためにかかった費用をだれが負担するのか、が明確ではないからなのです。

「新築あるいは新築同様にリフォームして入居者に貸したのだから、退去するときには元の状態に戻すためにかかった費用はすべて入居者の負担だ!」というのが昭和の時代には一般的に考えられていましたが、今では首都圏を中心に「自然に損耗した分は大家さんの負担、故意・過失によって損耗した分は借主の負担」という考え方をする傾向にあります。とはいえ、まだまだ昭和時代の考え方をするケースもないとは言い切れません。
そこで、契約書が重要になるのです。


賃貸借契約書は、お互いが納得し意志を合致したうえで締結するものです。一方的にどちらかの利益になるような内容は認められていません。貸す側の立場が強いわけではなく、借りる側にとっても不利でない内容でなければなりません。

国土交通省が示している原状回復ガイドラインが最近再改訂されましたが、それによると賃貸借契約を締結するときに原状回復に関する様式を添付しておくように指導しています。玄関ポストは壊れていないか、壁や床、天井などに汚れや傷はないか、細かな部分まで入居する前に部屋の状態を細かくチェックしておき、チェックリストを残しておけば、退去するときに同じ箇所をチェックした場合にかなり役にたちます。さらに気になる箇所は写真で残しておくのも手。

(詳しくはこちら→「再改訂された原状回復ガイドラインとは?」

>>>もうひとつ大切な「需要事項説明」

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