シンプルなメニュー、うな重は1400円と1700円
一瞬引き戸に見える自動ドアから店内へ入ると、左手に4人掛けのテーブル席が並び、奥にカウンターと2人掛けのテーブル席があります。訪れたこの日は日曜日。奥の席が埋まっていたこともあり知人と2人、4人掛けのテーブルへと案内されました。改装から年数が浅いということもありますが、老舗うなぎ店では稀に見るキレイで明るい店内。白い座席カバーも清潔感を感じさせます。
メニューは、うな重が「1400円」と「1700円」、蒲焼が「1200円」と「1500円」と、非常にシンプルな構成です。通常うなぎ店では、価格が3ライン、4ラインあったりしますが、こちらは2ラインで、お重に入るうなぎの大きさの違いです。1番高い価格が1700円……良心的ですね。知人と迷わず1700円のうな重をオーダーしました。
席に運ばれたうな重には、お吸い物と漬物がついています。蓋を開けると、かなりご飯を覆い尽くす大きなうなぎが鎮座。焼き色、たれの色合いも食欲をそそってくれます。外側が香ばしく中はふっくらと焼き上がったうなぎは関東風のそれ。タレもそれほど甘くなく、ご飯とのバランスも良く個人的にも好みの味です。私の連載では、コストパフォーマンス(CP)を重視する姿勢ではありませんが、提供内容と価格を考えるとかなりCPが高い店だと思います。
同店ではテイクアウト用のうなぎ弁当もあり、うな重と同じ価格です。この日もご近所の方なのか、慣れた!?感じで予約済みの弁当を持ち帰るご婦人の姿を目にしました。
ランチのみの営業、“土用の丑”は休み!?
日曜日に営業している老舗店の傾向として、浅草や上野、銀座といった土日も多くの人が集まる街に立地している、ということが挙げられます。そういった意味からすると、早稲田という決して便利とは言えない、ターミナル駅でもない立地で「日曜営業」というのは、老舗店巡りを続けている私としても嬉しく、頼もしい存在です。
メディアに頻出するような大型店ではなく、家族経営を守っている小さな同店。うなぎが無くなり次第店を閉めるので、11時半から長くても14時半くらいまでの営業です(現在、夜の営業は無し)。ビールやお酒もありますが、白焼きやう巻きなど、うなぎ店のつまみの定番メニューがありません。友人らと蒲焼でゆっくりと飲みながら〆にうな重を、という使い方ではなく、純粋にうなぎを短時間でかき込む、という使い方が相応しいのでしょう。
ちなみに、うなぎと言えばすぐに思い浮かぶ“土用の丑”。こちらすず金では、うなぎの“供養”のために休業します。うなぎとの向き合い方に何か敬意を払いたくなります。
何度も伺っている同店ですが、食べ歩きをしてそうな方、年配の方が多い印象は、この日もいつも通り。多少グルメを気取るなら、“小箱ながらおさえておきたい”、“できればあまり多くの人に知って欲しくない”そんな一店でしょうか。
貴重な土日営業、夏目漱石も味わったうなぎ店で、ランチはいかがでしょう?
■すず金
住所:東京都新宿区馬場下町61
TEL:03-3203-5936
営業時間:11:30~14:30くらい(ただし、うなぎが無くなり次第閉店)
定休日:火
地図:Yahoo! 地図情報