D1グランプリ主催者がおくる言葉遊びの絵本
M1(漫才)、K1(格闘技)、B1(B級グルメ)とグランプリ花盛りの世の中ですが、D1だじゃれグランプリをご存じでしょうか? D1のDは、だじゃれのDということで、D1だじゃれグランプリは、大真面目にだじゃれを競う愉快な「だじゃれ選手権」です。実は、その主催者が絵本作家の中川ひろたかさんだというから驚きです。そんなだじゃれの第一人者(?)中川ひろたかさんと、とぼけた味わいの絵が魅力の高畠純さんのコンビによる「だじゃれえほん」シリーズは、子どもから大人まで、家族そろって楽しめると大人気のシリーズです。今回は、その中から、愉快な魚がたくさん登場する『だじゃれすいぞくかん』をご紹介します。
洒落(しゃれ)た絵本だ、読みなしゃれ!
「なあ~んだ、おやじギャグの絵本か……」と思ったそこのあなた、「だじゃれ」は、おやじギャグとは違うのであります。ズバッと決まった「だじゃれ」は、笑いを生み、場を和ませ、気持ちまでほっこりと温めてくれます。洒落こそは、和歌の掛詞などにも見られる高度な言葉遊びなのですから、馬鹿にしてはなりません。
けれども、そんな能書きを思い浮かべながらこの絵本を開いても、おやじギャグの絵本と割り切って読み始めても、結果は同じことになるでしょう。ひとたびページを開けば、読者は間違いなく「ギャハ、ウフッ、オホホ」と声を上げ、あっという間に笑いの世界に引き込まれてしまうのですから。
絵本では、水族館でお目にかかる31種類の魚介類が次々と登場し、短い一文の中で、切れ味鋭いだじゃれを繰り広げます。例えばこんな具合です。
- 「おさき マっグロ」 (こんなだじゃれで大喜びのガイドこそ、お先真っ暗でしょうか?)
- 「きのう きょう アシカ」 (昨日、今日、明日です。アシカらず。)
- 「アワビの しるしです」 (ガイドはお詫びにアワビをもらうととても嬉しい。)
こちらの水族館でも魚たちがだじゃれを飛ばしているのかも……
子どもたちにとって絵本とは、しつけや学習の道具ではなく「楽しみ」であるはずです。この作品は、そんな絵本の本来の姿を思い出させてくれる「楽しさ」がいっぱい詰まった作品なのです。
【書籍DATA】
中川ひろたか:文 高畠純:絵
価格:840円
発売日:2001/8
出版社:絵本館
推奨年齢:3歳から100歳くらいまで
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<参考>
「だじゃれえほん」シリーズには、次のような作品もありますので、ぜひどうぞ。
『だじゃれどうぶつえん』
『だじゃれしょくぶつえん』
『だじゃれレストラン』
『だじゃれオリンピック』
『だじゃれえほんセット』