豊富な食材を巧みに組み合わせ、発酵食品が味の決め手に
小魚を塩漬けし、発酵させたプラホックはクメール料理の味のキメテ
しかし、実際は、アプサラの料理は、いたってシンプル。毎日口にしても、身体が負荷なく受け入れる味わいばかりだ。
カンボジア(クメール)の料理は、古くから多くの国々からの影響を受け、また多くの近隣諸国などに調理技術を伝え、独自に発展したのだが、ひとことでいうならば、タイ料理よりもマイルドで、ベトナム料理よりも香草が控えめで素朴、だといえようか。
決して華やかな料理とはいえないけれど、豊富な食材を巧みに組み合わせ、レモングラス、こぶみかんの葉、ウコンなどをペーストにしたミックススパイスが味のキメテとなる。トゥック・トレイと呼ばれる魚醤、プラホック(魚を発酵させたペースト)もクメール料理の基盤をかためる重要な存在だ。
「アプサラ」でも、伝統に基づき、ひと皿にしっかりと深みある味を表現している。
魚のダシがきいた料理は得意技
ココナッツ風味の魚そうめん「ノンバンチョック」。写真は温かいもの。