過去のダマスカスパターとは?
ダマスカス鋼の由来は古く、十字軍遠征で兵士がヨーロッパに持ちかえったという話もあります。もちろん組成などは現代のものとは異なるのでしょうが、神秘的なイメージを補完するような興味深いエピソードです。90年代初頭に「MAXFLI」ブランドなどで削り出しパターを世に送り出し、91年のイアン・ウーズナムのマスターズ優勝に貢献するなどして評価されるパターデザイナー、タッド・モアが96年にヘッド全てにダマスカス鋼を採用したパターを発表しました。価格は、15-6万円と通常のラインよりもずっと高額なものでした。
ガイドは、打球したことがあるのですが、他に例のないほど硬質な打感で、「ホワイトダマスカス」とはかなり異なっています。これこそが、本当の意味でのダマスカス鋼の感触といえそうです。
世界で最も人気と実績を兼ね備えるスコッティー・キャメロンは、自信のスタジオモデルとして、やはりダマスカス鋼を採用したパターを製作しています。2008年に27本限定で製作したもので、なんと150万円以上の価格で販売されています。
製作工程やキャメロン氏自身のこだわりなどもさることながら、今後あるかどうかも分からない、ダマスカス鋼とスコッティー・キャメロンという組み合わせが、コレクターの心に響くのではないかと思います。
製作よりずっと以前から、キャメロンはダマスカス鋼でのパター製作を構想していたといいます。パターデザイナーは、興味深い素材があれば、自信のアイディアをその素材で試してみたいと思うものなのかもしれません。
パターの素材は、性能と密接に結びついています。
特に、パターほど距離を細やかに打ち分けるクラブは無いわけで、より繊細なタッチを出すためにも打球感、打球音といった点が非常に重要になります。ヘッド素材はそれらを決める重要な要素です。
現在のパターは大きく分けると3タイプあります。
(1) 樹脂系の素材をフェース面に挿入した打球感が軟らかく、打球音が静かなタイプ。
(2) 軟鉄やステンレスなどの素材で、打球感が硬く、打球音が大きく高いタイプ。
(3) フェース面に溝などを施した、その中間タイプです。
ダマスカス鋼は硬い素材なので、(2)に分類されるでしょう。
男子プロは、どちらかといえば硬いフェースを好む傾向があるようです。ツアーの高速のグリーンでは、(1)の打球感が軟らかく、打球音が静かなタイプでは強く打ちすぎてしまうのではないかと推測します。もちろん軟らかいフェースのパターを使用するプロもいます。各プレーヤーの感覚や調子によって、使い分けられるわけです。
打球感と打球音は、ボールでも大きく変わります。
同じボールで、色々な素材のパターを使うとこれほど違うのか、と驚かれる方も多いでしょう。距離感がなかなか出ないというゴルファーには、試してみてもらいたいところです。