じわり消費税増の論議が進む
消費税増に関するニュースが増えてきました。19日の記者会見で、野田総理は年内に結論を出すと発言をしていますし、6月に示された「社会保障・税一体改革」においては、2010年代半ばまでに消費税を10%程度に引き上げ、年金などの社会保障財源として活用するとの趣旨が盛り込まれています。消費税増については誰もが「いつか上がる」という感覚を抱いていると思います。少なくともいつかは現行の5%より上がるはずだと感じているはずです。
問題はその「いつか」が来年の法律改正で決まるのか、5年後なのかというだけであって、上がることそのものは既定路線と感じているのではないでしょうか。
ちなみに、自民党も方向感としては消費税増を否定していないので、民主党政権が終われば消費税増がなくなると決めつけることはできません(ただし次の選挙については戦略として消費税増を声高に言わない可能性がありますが)。
また、消費税については「どれだけ上がる」か、という問題もあります。現在の方向感は、まず10%へ引き上げを実現というところでしょう。ただし、経団連や経済同友会などは最終的にはもっと消費税は必要になるはずだと提言をしており、いつかは20%に近い負担になる可能性もあります。
じわじわと消費税増の流れが動いている中、我々個人が考えておくべきことがあります。それは「老後の資金準備」「老後の家計」に与える影響です。
消費税引き上げは毎日の家計に影響を与えるだけではありません。老後に備えるお金の準備にも影響を与えますし、実際に老後の家計にも影響を与えるのです。
老後の家計は消費税増で手取り縮小~毎月1万円マイナスも
実際に年金生活に入ってから消費税が引き上げられるとどうなるでしょうか。今までは消費税5%でやりくりしていたのに、消費税が10%と引き上げられた場合を例にとって考えてみます。年金額は原則として変わりません。消費税増に伴う年金アップは考えられていないからです。低年金者に対して給付付き税額控除の方式で還付がされる可能性はありますが、基本的には消費税増に相当する負担を求められると覚悟する必要があります。
今年金生活をしている夫婦の平均的な支出は毎月26.5万円ですが、このうち税金等を除いた消費支出が23.5万円です。今の税率でもすでに消費税を1万1200円くらい払っている計算です。実際の消費に回せる金額は22万3800円ということになります(※データは総務省「家計調査」より。すべての消費支出に消費税がかかったものと仮定)。
仮に、支出の総額は変わらず(年金収入が一定である等の理由により)、23.5万円の枠の中で消費税10%をやりくりすると213600円が毎月使えるお金、ということになります。感覚的にいえば、1万円くらい買い物できる金額が減る、ということです。
これに備える方法としては、家計をそのまま節約して総額を抑えるか、手元の資産を取り崩して対応するか、ということになります。毎月1万円多く取り崩すということは約20年あるセカンドライフで取り崩し額を240万円増やす計算になります。
消費税増ですでに保有している資産が目減りすることはありませんから、しっかり管理していくことが大切になりそうです。
いずれにせよ、老後の生活に消費税増が大きく影響することの対策は考えておく必要がありそうです。もちろん、これから年金生活を迎える人は将来の消費税増を織り込んだ準備額のアップを考えるべきです。
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