住宅購入の費用・税金/確定申告・住宅ローン減税

「住宅ローン減税」2011年/補助金を受けた際の注意点(2ページ目)

頻繁に制度の内容が変更されるため、複雑で分かりにくくなってしまった「住宅ローン減税」。2011年度の改正では、太陽光パネルなどを設置して補助金や交付金を受けた場合、その金額相当額を控除して税額を計算するよう改正されました。どうやら「二重受益」を回避しようという狙いのようです。お心当たりのある人は本コラムで、きちんと改正内容を確認しておいてください。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド

質問2 親から贈与を受けて「共有名義」にした場合の住宅ローン減税の取り扱い

このページでは「共有名義」に関するご質問を2つ取り上げます。

-----【質問内容】-----

イメージ写真

自身の持ち分を越えて「住宅ローン減税」は還付されない

はじめまして。ぜひ教えてください。2012年4月入居予定の新築マンション(3750万円)の購入を決めました。資金の内訳は、親から2000万円を出してもらい、残りは自己資金(260万円)と銀行からの私名義(単身女性です)の借り入れ(1490万円)で工面しようと考えています。マンションの床面積は55平方メートルほどです。名義は親と私の共有名義にする予定です。

そこで質問ですが、この場合、住宅ローン控除は受けられるでしょうか。共有名義(2分の1ずつ)にするため、私の持ち分は専有面積55平方メートルの半分しかありません。

<住宅ローン控除が受けられる場合>
控除の対象金額は1490万円でしょうか。それとも2分の1の745万円でしょうか。

<住宅ローン控除が受けられない場合の対応策>
親からの資金提供を共有名義ではなく、私単独での名義にすれば住宅ローン控除は受けられるでしょうか。

私は現在、分譲マンション(ローンは完済)に住んでおり、新しいマンションに転居後は現在のマンションを賃貸に出すつもりです。どうぞ宜しくお願い致します。

-----【ガイドからの回答】-----

住宅ローン減税は、自己が「所有」かつ「居住」するための住宅に対する借入金(住宅ローン)を減税の対象とします。そのため、債務者(住宅ローンの利用者)が持ち分を100%自分で持たない場合、その持ち分割合に応じて還付される金額が減額されることがあります。ご相談者のケースでは

 (A)1875万円(新築マンションの購入価格3750万円×債務者の持ち分50%)
 (B)1490万円(住宅ローンの借入金額)

住宅ローン減税では仕組み上、(A)(B)どちらか少ない金額を住宅ローン減税の対象金額とするため、この場合には(B)1490万円が該当することになり、結果、1490万円全額が住宅ローン控除の対象となります。減額されることなく控除が受けられますので、どうぞご安心ください。


質問3 「共有名義」かつ「収入合算」の場合のローン減税額の計算方法 

2番目の質問では単独債務でしたが、今度は収入合算して住宅ローンを組んだ場合の取り扱いについて見ていくことにします。

-------【質問内容】-------

分譲価格4000万円(税込み)の新築マンションを契約し、頭金500万円、住宅ローン3500万円(夫婦の連帯債務)組んで購入する予定です。夫の年収は700万円、妻の年収は300万円で、頭金は全額、夫が単独で支払います。マンションの持分割合を夫:妻=1:1(半々)にした場合、住宅ローン減税の対象となる借入金額はそれぞれいくらになるか教えてください。

-----【ガイドからの回答】-----

収入合算(連帯債務)して住宅ローンを組んだ場合、夫婦2人とも住宅ローン減税の対象になることは分かっていても、夫と妻それぞれがいくらずつ減税されているかまでは分からないものです。以下、詳しくご説明しましょう。

まず、夫婦の年収割合から住宅ローンの借入金割合は夫:妻=7:3と考えるのが妥当です。そして、この7:3を基礎に、夫の住宅ローン減税の対象となる借入金額を計算します。分譲価格4000万円のうち、夫の持分割合は2分の1ですので、夫が負担すべきマンション購入のための借入金は1500万円(分譲価格4000万円×50%-頭金500万円)となります。

ところが、住宅ローンの借入金割合は夫:妻=7:3と考えられることから、実際は住宅ローン3500万円×0.7=2450万円を夫は負担しなければなりません。その際、持分割合を超えた超過部分は住宅ローン減税の対象外となることから

 (C)持ち分割合をもとに計算した夫の借入金額:1500万円
 (D)借入金割合から算出した夫の借入金額:2450万円

となり、差額(D-C)950万円は妻が持ち分(2分の1)を取得するために夫が妻に代わって負担する夫の借入金となります。つまり、住宅を取得するための借入金と見なされないため、この950万円は住宅ローン減税の対象外となります。

同様に、妻は借入金割合から住宅ローン3500万円×0.3=1050万円を負担することになりますが、この金額は妻の持分割合(分譲価格4000万円×50%)の範囲内なので、こちらは1050万円がそのまま妻の住宅ローン減税対象金額となります。

以上より、夫は1500万円、妻は1050万円を基礎に、住宅ローン減税の減税額を計算することになります。






  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます