岩松旅館で温泉満喫
岩松旅館は作並温泉発祥の宿で、谷底にある天然岩風呂が名物です。他にも男女別大浴場や女性専用風呂もありますが、天然岩風呂があまりにも素晴らしいので、他は省略します。天然岩風呂は作並温泉発祥の江戸時代からあり、昔から長い階段を降りて辿り着く湯で、今は途中までエレベーターがあり階段の数がやや少なくなったとはいえ、依然として長い階段でしか行けない湯です。まず、この木造階段の風情が素晴らしいのです。同様に階段を降りていく名湯は日本各地にありますが、やはり東北という事で、大沢温泉を思い出します。大沢温泉の大沢の湯へ行く階段は、これ程長くありませんし、近年改装されたので新しいものですが、階段の先に素晴らしい名湯があるという意味で、つい思い出してしまうのです。この階段の風情を味わいながら、ゆっくり降りていくのが、温泉好きだと私は思います。
途中、女性専用風呂を通過して谷底に到着すると、岩の露天風呂があり、4つの湯船が並んでいます。手前から瀧の湯、新湯、鷹の湯、河原の湯の順に並んでおり、それぞれ自噴自家源泉の掛け流しです。川沿いに源泉が異なる湯船が並ぶ様子は、東北という事もあり、夏油温泉を思い出します。温度調節の為、多少加水されますが、少量なので問題ありません。天候や温度調節のタイミングにより、湯の状態は微妙に変化すると思われますが、私が行った時は新湯と鷹の湯でかすかに石膏臭を感じ、さすが自噴源泉と思いました。
含食塩芒硝泉の湯は、温度が高いと塩分刺激で体感温度も高まり、辛くなってしまいます。しかし、加水で温くしたのでは、温泉本来の良さが損なわれます。そうした微妙な温度調節の賜物で、素晴らしい湯になっているのです。4つの湯船を毎回入り比べて、お気に入りの湯船を見つけて長湯するのがおすすめです。ただし、芒硝泉はあたたまるので、浸かり続けるとのぼせてしまうので、出たり入ったりして楽しみましょう。
大沢温泉や夏油温泉を思い出すのは、湯も風情も日本屈指である事を、無意識の内に理解しているからです。しかも、大沢温泉や夏油温泉は日帰り入浴受付時間が長いですが、岩松旅館では昼前後の僅かな時間しか受け付けません。他の時間は、宿泊者だけでこの日本屈指の温泉を堪能できるのですから、温泉好きにとって、これ程に贅沢な事はないと確信しました。いくら褒めても褒め足りない温泉の素晴らしさこそ、この宿の最大の魅力です。
天然岩風呂は混浴で、19:30~21:00、翌朝5:30~7:00は、女性専用時間になります。また毎週日曜日は、13:00~15:00まで清掃で入浴できません。なお、川沿いの為、台風等の増水時には入れない場合があります。
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