タンタンと一緒に冒険の旅に出かけよう
エルジェの漫画絵本「タンタンの冒険」シリーズは、1929年ベルギーの子ども新聞への連載から始まりました。1929年というのは、なんとウォール街の大暴落で世界恐慌が起こった年ですって! そんな昔から子どもたちに愛され続けたこのシリーズが、スピルバーグによって映画化され、2011年12月に公開されます。少年新聞記者タンタンと、相棒の白い犬スノーウィが、世界中を駆け巡り、数々の難事件を解決していく「タンタンの冒険」シリーズから、映画化第1作目の原作のひとつ『なぞのユニコーン号』をご紹介します。さあ、タンタンと一緒に冒険の旅に出かけましょう!
手に汗握る一級の冒険活劇『なぞのユニコーン号』
この絵本の面白さをお伝えするには、まず何をおいても魅力的な主人公たちをご紹介しなければなりません。1人は、くるりとはねた前髪と、今では懐かしいニッカボッカがトレードマークの少年新聞記者・タンタンであり、もう1人否もう1匹は、タンタンが信頼する愛犬のフォックステリア・スノーウィであります。
彼らは、これまでにも、知恵と勇気と互いの信頼関係を武器にいろいろな事件を解決してきましたが、今回の事件は特別といってよいでしょう。17世紀に、世界を変えるほどの財宝とともに忽然と姿を消した伝説の船ユニコーン号を巡り、ハラハラ・ドキドキの物語が展開していきます。海賊がユニコーン号に運び込んだと思われる財宝はどうなったのか? ユニコーン号の模型に隠されていた羊皮紙の謎は解けるのか? その羊皮紙争奪戦の結末は?
題名の通り、謎が謎を呼ぶ展開に、大人も子どもも一気に物語の世界に引き込まれてしまいます。読者は、彼らとともに海を漂い、宙に舞い、時に命の危険を感じるような錯覚さえ覚えることでしょう。
さて、この作品、コミックであることを理由に敬遠なさる方がいらっしゃるかもしれませんが、それではあまりにもったいないと思います。読者をとらえて離さないストーリーに加え、丹念に描かれた絵もまた素晴らしいのです。17世紀の帆船やお城の描写など本当に見応えがあり、綿密な取材に裏打ちされたその絵をじっくり眺める楽しさは、他の絵本では味わえない醍醐味をもたらしてくれます。
なお、『なぞのユニコーン号』は1冊だけでも充分楽しめますが、『レッド・ラッカムの宝』と合わせて1つの物語を成しています。映画は、この2作品を合わせたストーリーとなるようです。『レッド・ラッカムの宝』では、「ユニコーン号」に隠された暗号に基づいた宝探しの様子が描かれ、前編に引き続きタンタンとスノーウィたちの活躍を楽しむことができますので、2作続けてお読みになると2倍以上楽しめるはずです。
【書籍DATA】
エルジェ:作 川口恵子:訳
価格:1680円
発売日:1983/10/25
出版社:福音館書店
推奨年齢:小学生くらいから
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※ 参考:映画『タンタンの冒険』公式サイトはこちらから