新車は、数年後を想像して選びたい
今でこそ「ファミリーカーといえばミニバン」は当たり前ですが、1990年代に各社がこぞってミニバンを開発するまで、子どもたちが描くクルマのカタチはセダンやクーペでした。しかしミニバンが登場すると、状況は一変。一台で家族や友人、あるいは祖父母を乗せて移動できる楽しさや、郊外のロードサイド店で大きなものを買っても楽々積み込める便利さを、人々はすぐに受け入れました。こうして今や子どもたちは、クルマと言えばミニバンを描きます。昨今のエコカーブームや景気の不透明感の中でもなお、ミニバンは人気です。例えば2011年上半期の新車販売台数の上位30台のうち、ミニバンは約3割を売り上げています。ですから今も、自動車メーカー各社は新しいミニバンを作ることに余念がありません。しかしこれだけ数が増えると、買う側としては何を選んで良いのかよく分からなくなります。
新車を選ぶ際の判断材料のひとつとして、リセールバリュー、クルマを手放す際の下取り(買取)価格があげられます。数年乗った後、どのくらいの価格がつくのかは予想するしかありませんが、長年中古車市場をウォッチしていればだいたいの想像はつきます。せっかく新車でミニバンを買うなら、リセールバリューの高い、人気が衰えないモデルを買いたいもの。今回は趣向を変えて、中古車視点でいま買うべき新型ミニバンをチェックしていきましょう。
そもそもミニバン自体が、お得です
ミニバンの中古車価格を見ると、その根強い人気ぶりがわかります。中古車の価格は需要と供給のバランス、つまり人気のあるクルマほど中古車価格が高くなりますが、ミニバンは他の車種に比べて高いのです。もちろん、その分下取りや買取り価格に期待できるということでもあります。ではミニバンの中古車価格がどれだけ高いのか、具体的に見てみましょう。例えばトヨタのアルファード(旧型)の中古車は、2005年式で4万km台のものが170万~280万円で見つかります(原稿執筆時点)。いっぽう、同車と新車時価格と排気量がほぼ同じセダンは、140万~220万円です。つまり30万以上、ときには50万~60万円も差が出ることがあるのです。
もちろん装備やキズの有無、さらには車種ごとに多少の誤差は出ますが、それでも中古車の販売価格でこれだけ開きがあるのですから、やはりミニバンは人気があるということです。このように、手放す時の価格にも期待ができるミニバンは資産価値が高く、お買い得だと言えます。