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PSVitaのために、しぶとく咲いて華麗に散る(2ページ目)

いよいよ、年末商戦が近づいて盛り上がるゲーム業界。その盛り上がりの中心の1つとなるのが、新ハード、PlayStationVitaでしょう。そのPlayStationVitaがうまく軌道に乗るために重要な役割を持ったハードがあります。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

ティーン争奪防衛戦 PSPの粘り

PSPとDSの図

2011年の年末商戦でティーン層がどちらに多く揺れるかというのは、両陣営の今後に大変重要なファクターとなります。

年末の3DSはファミリー層を中心に、そしてあわよくばティーン層を狙っていく構えですが、一方でPSVitaの購入年齢層は、今回の年末商戦ではかなり高めとなるでしょう。情報感度が高く、お金にも余裕があって、誰よりも早く新しいハードを触ってみたい、そういうややマニア寄りのゲームユーザー、あるいは純粋なPlayStationプラットフォームのファンがまずは大きく動いて買っていくはずです。そういう意味で発売当初に限れば、PSVitaと3DSはあまり競合しません。

そこで、重要になるのがPSPがその市場を維持、さらには小学生以下の低年齢層に食い込んで3DSの市場拡大を少しでも阻止することです。2011年のPSPはダンボール戦機発売を皮切りに、夏にはパタポン3や太鼓の達人ぽ~たぶるDX、トリコ グルメサバイバル!DXといったタイトルをプッシュした低年齢層拡大戦略も行なってきました。

SCEは、PSVitaが発売された後、PSPも併売していくことを表明しています。実際、PSVita発売に備えてPSPのソフトが無くなるかというとそんな感じはなく、2011年後半もまだまだタイトルをリリースしていきます。ここでどれだけ3DSの猛攻を食い止め、市場を維持し、低年齢層へと広げてバトンタッチしていく体制を整えるかが、2012年以降のPSVitaに大きく影響していくでしょう。

中高生をせーので移動させるタイミング PSPの終焉

PSPを遊ぶユーザーの図

みんなで遊びたいからみんな買い換える、そういう雰囲気作り、盛り上がりが重要です。

続いて、少し気が早いですが2012年の展開の話まで少ししておくと、任天堂が3DSにシフトした流れを作ったことで一気にタイトル数が減ったDSと比較して、PSPはもう少しゆるやかにタイトルが減っていく形が予想されます。特に、PSPは小規模のメーカーが、少ない販売本数ながらに堅く数字が読めるタイトルを数多く出していたという側面がありますので、そういったタイトルはかなり長く残っていくのではないでしょうか。

ただし、それにあわせてユーザーもゆるやかに移動していくかというと、おそらくそうではありません。PSPのユーザーというのは、モンスターハンターポータブルシリーズに代表されるマルチプレイタイトルを主に遊んでいるユーザーがとてもたくさんいます。こういったユーザーは自分1人だけ新ハードを持っていてもあまり意味はありません。友達が買い換えるタイミングに、せーので乗り換えるのが理想です。

じゃあ、そのタイミングをいつ作るか、ということになるわけですね。PSVitaが盛り上がって一斉に買い換えるタイミング、別の言い方をすればPSPの終焉をどう演出するかが、2012年のポイントになるでしょう。

PSVitaがうまくいくために、PSPがどこまで粘って、どこで終わりを迎えるかが重要だということを説明してきましたが、最後に、その最期の時を迎えていくPSPというハードについて、ちょっとお話して終わりたいと思います。
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