低く掲げられた暖簾、威圧感ある「寿司政」
東京メトロ東西線と半蔵門線、都営新宿線が交わる九段下駅。こちらの駅からほど近くに、渋い外観の「寿司政」が存在します。
見た感じ、ドーンという迫力ではなく、静かにジワジワ威圧してくる面構え。しかし、暖簾(のれん)が低い低い……。さすがに私も1回目に訪れた際には尻込みし、来店客、退店客の様子を窺っていたりしました。一見華奢な老人が実は柔道十段(赤帯)……そんな空気感が店外にまで漂うとは言い過ぎでしょうか。
創業は1861年(文久元年)
同店の創業は、1861年(文久元年)と江戸末期です。創業時は日本橋などですし屋台を引いて営業を。現在の九段下に店を構えたのは、関東大震災(1923年)後となります。
さてその1861年はどんな年だったのか……。江戸における外国人暗殺事件の第1号として記録される「ヒュースケン殺害」が起こります。こちらは、攘夷派薩摩藩士が米国駐日総領事館の通弁官(通訳)を殺害した事件。まさに幕末の混乱期ですね。
世界を見渡すと、イタリアが王国として統一を成し遂げ、アメリカでは1865年まで続く南北戦争が勃発します。
庶民目線での出来事としては、長崎にボウリングサロンが誕生。これが日本初のボウリング場と言われています。ボウリング場、そして「南極探検=しらせ」と今なお連想させる、日本初の南極探検を成功させた白瀬矗(しらせ・のぶ)が生まれたこの年、寿司政の歴史が始まります。
しかし、ボウリング場って「ちょんまげ」「刀」の江戸時代からあるのがちょっとビックリですが……。
では、勇気を振り絞って低い低い暖簾の先へ