出産の基礎知識/出産・産後の不安・疑問

vol.11 常位胎盤早期剥離後の誘発分娩

前回の妊娠で常位胎盤早期剥離で死産を経験し、新たに赤ちゃんを授かった妊婦さん。主治医の先生から誘発分娩を勧められて、悩んでいます。まずは、今の気持ちを先生に正直に伝えることから始めてみることをおすすめします。

竹内 正人

執筆者:竹内 正人

妊娠・出産ガイド

Q:
昨年夏、常位胎盤早期剥離により死産を経験した者です(こちらで相談するのが適切なのか分かりませんが……、ぜひ竹内先生にご意見を聞きたかったので送信させていただきます)。

死産より5ヶ月後に新たに赤ちゃんを授かり、喜びもひとしおなのですが、主治医の先生より誘発分娩を勧められ、悩んでおります。誘発をしたほうが、やはり良いのでしょうか? ちなみに妊娠は4回目で、10歳と5歳の息子がおります。
2人は何の問題も無く、自然分娩でした(死産のときも経膣で分娩時間は短かったです)。

結果も大切、そこへ至るプロセスはより大切

妊婦さん

前回の妊娠で常位胎盤早期剥離を経験。誘発分娩をしたほうがいい?

A:
そうでしたか……常位胎盤早期剥離による死産でしたか……きつかったですね。その後5ヶ月で、新たに妊娠をされたのですね。そして今、あなたは、お産を自然に待ちたいと思っているのですね。ところが、先生からは誘発分娩を勧められていて、悩んでいる。

そうですね……まずは、あなたの今の気持ちを先生に正直に伝えることから始めてみませんか。誘発分娩の方がいいという根拠はありませんが、先生には、もしくり返したらという思いがあるのです。多分、どこでお産をしても誘発分娩の提案があるはずです。

胎盤早期剥離はその程度にもよりますが、頻度は総じて0.5~1%(100人~200人に1人)ですが、反復する可能性は5~10%とも言われています。現場にいると、そこまでリスクが高いとは思いませんが、医師は通常、最大リスクで物事を考えるので、自然を待つことは心配だし、恐いのです。

ただし、誘発をすれば、結果がよくなる、より安全という根拠もありません。それでも、妊婦さんだけでなく、医師も不安なのです。できれば担当医と何度も話したうえで、お互いの気持ちに折り合いをつけてゆきましょう。僕が担当医であれば、やはり誘発の話をするでしょう。それでも、前回が常位胎盤早期剥離の方で、相手の方と話しをしたうえで、妊婦健診を重ねながら、自然の陣痛を待ったこともあります。ただ、お互いの信頼関係ができていないと、待つことは難しいでしょう。

一方、誘発をすることで、赤ちゃんへの直接の影響はありません。ただし、気持ちを抑えて、無理に誘発へ臨んだとすれば、赤ちゃんが元気であったとしても、きっと、しっくりこない感情が心の奥底に滞積してゆくことでしょう。

結果は大切ですが、そこに至るプロセスの方が、より大切であったりします。まずは、あなたの素直な気持ちを表出してみましょう。どうして自分は自然がいいのか?誘発を受け入れることは難しいのか?

医師がとりつく島のない対応にならないことを願っています。お大事に。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※妊娠中の症状には個人差があります。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。体の不調を感じた場合は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。

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